六話 異端と歩み寄る影
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るから、」
何を言っているの?
なんで、そんな平然としていられるの?
定まらない思考回路に、エミリアは困惑する。
「…………」
どうすればいい?
どうすればこの状況を乗り切れる?
「……………」
どうしよう。
どうしよう。どうしよう。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
どうしたらいい?どうしたら?どうすれば?
「────────そこまでだ」
そんな時、彼はやって来た。
この国、最強の騎士────ラインハルト・ヴァン・アストレアだ。
「エミリア様、ご無事ですか?」
そう言って、妖艶な微笑みを浮かべる女の前に立ちはだかる。
「私達は…大丈夫……でも、」
視線の先、恐らく先程まで生きていたソレにエミリアは指差す。
ラインハルトはソレを見て、表情を歪ませることも無く、女を見据える。
「貴方が、この国で最強と謳われる騎士────剣聖 ラインハルト・ヴァン・アストレア」
ウフフフフ、ウフフフフ。
楽しそうに。
愉しそうに。
樂しそうに。
ただ、ひたすらに歓喜の声を上げる。
「その方は?」
もう死んでいるであろう人間だったものに対してラインハルトは質問する。
「これは私の食事よ。先程少し変わった騎士の方と手合わせしてやられちゃったわ」
「一応、無駄だと思いますけど言っておきます。投降してください。罪が軽くなる訳ではありませんが、ある程度は譲歩するよう尽力します」
「あらあら優しいのね」
「最低限の慈悲です」
ラインハルトの表情は変わらない。
冷たくはない。かと言って暖かくもない。
当てはまるとすれば無表情と言うべきだろう。
恐怖している訳でもなく、楽観視している訳でもない。面倒だとも思っていない。一体、ラインハルトは何を思い、何を感じているのだろう?
「ありがとう。でも、御遠慮するわ」
そう言って女は鋭利なナイフを何処からか取り出し────戦闘態勢に入る。
「忠告はしました」
「えぇ、忠告ありがとう────ね!」
消えた。女は消えた。
だが、ラインハルトの目は女を逃さない。
空を舞い、ナイフを突き立ててくる女を見逃さない。
ふぅ…と軽く深呼吸し、ラインハルトは手を差し出す。武器を構えず、右手を前に差し出す。それだけだ。女に躊躇はない。ナイフはラインハルトの心臓目掛けて突き────刺さらなかった。
「!?」
女は喜びに震えている。
ラインハルトの心臓に突き刺さる筈だった己の武器はラインハルトの手によって受け止められていた。それも武器も構えず、素手で受け止めたのだ。
「鋭い────でも、それだけでは僕は殺せない」
ラインハルトは受け止めたナイフごと女を吹き飛ばす。
女は物凄い勢いで吹き飛ばされ誰も住んでいない建物に激突する筈…だったが、吹き飛ばさる最中、女は何とか体制
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