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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
艦隊司令部着任
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壁となって立ちはだかっているといえる。

 時間をかければ、かけるほどに戦力差は広がっていくのだ。
「どうかしましたか?」
「次の作戦のことを少し」
「さすがのマクワイルド大尉も初めてでは緊張しますか。大丈夫ですよ、私も初めてでしたが、何とかなるものです」
「そうだといいのですが」
 微笑で言葉を返しながら、窓の外から近づく、艦隊司令部をアレスは眺めた。

 時間をかければ、かけるほどに戦力差は開いていく。
 だが、そのために歴史を変えたとしても問題がある。
 というよりも、それはたった一度しか使えない切り札のようなものだ。
 歴史を変えた瞬間、それはアレスの――というよりも原作の手から離れて、無重力を漂うボールの様に新たな歴史を作り出すことだろう。
 それがどこに終着するか、実行した段階でアレスはもはやわからない。

 かといって、このまま歴史を変えなければ、作戦参謀であるアレスは死なないとしても、現場では多くの人間が死ぬことになる。

 艦隊司令部を間近に見上げても、アレスは答えを出すことはできなかった。

 + + + 

 一口に作戦参謀と言っても、全員が頭を寄せ合って作戦について討議するといったことはあり得ない。全員で作戦行動を考え、補給を考え、計画を立てるなど無駄もいいところだ。
作戦参謀内でも、それぞれの部署に分けられ、配属されたものは一つの事柄のみを検討することになる。例えば、ヤンやアッテンボローは交戦時の作戦を立案、計画する部署であるし、ワイドボーンはイゼルローン要塞接近後の、要塞の攻略作戦について陸上戦隊から送られた人員と協力して作戦を立てる部署だ。

 アレスが配属されたのは、その一つである情報参謀と呼ばれる部署だ。
 イゼルローン要塞や敵軍の情報、さらには秘密を要する訓練計画の情報統制といった事柄が担当であり、主任情報参謀のリバモア少将及び主任情報参謀代理のビロライネン大佐の元、それぞれ部署で中佐が責任者となって、仕事をこなしていた。

 情報参謀の任務は作戦の成否を決めるともいえる重要な役割であるが、その中でも訓練計画や情報統制の部署にアレスが送られたのは、まだ一年目の新人であるということもあるのだろう。
 攻略戦が始まったら、やるべきことはほとんどない。
 むろんその前にもやるべきことは多いのだろうが、他の部署に比べれば比較的責任は少ないということだ。

 クエリオ・アロンソ中佐と名乗った銀色の髪をした四十代半ばの男性だった。
 生真面目そうな表情は、軍人というよりも官僚といった印象がある。
 アレスを見る視線も歓迎というよりも、ただ淡々とした表情であった。
 その顔立ちをどこかで見たような気がしたが、アレスはさしたる印象を持たなかった。
 その後の印象が強すぎ
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