第二章:雄英体育祭
迫る雄英体育祭!!
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消すのを忘れていたらしい。
「それにしても、こんな時間に誰が・・・?」
鞄から携帯を取り出し、画面をつける。すると、そこには、
『お母さん:雄英体育祭で優勝しなさい。私達も見に行くから、恥をかかせないで』
『お父さん:母さんに言われたから、仕方なく見に行くがお前には期待していない』
両親からの圧力の言葉が送られてきていた。その内容は、親が息子に投げかけるような言葉ではない。
(息子にかける言葉がそれかよ)
緋奈は携帯の画面を消し、懐に押し込んだ。しかし、また携帯が振動する。
(・・・またか)
胸中でイラッとしながら、携帯を取り出し、画面をつける。 だが、今度は母でも父でもなく、
『お義姉ちゃん』
しかも着信だ。
「ちょっと、ごめん!」
緋奈はすぐに、席を立ち上がりトイレへ駆け込む。個室に入り、通話ボタンを押す。と、
『もしもし、緋奈ちゃん?』
若い女性の声が聞こえた。 数年ぶりに聞いた義姉の声。いつも優しくて、自分を愛してくれた唯一の家族とも言える存在。緋奈は嬉しくて、声音が上がっているのだろうが、本人は気づいていない。
「うん、緋奈だよ。 久しぶり、お義姉ちゃん」
『久しぶりね。 遅くなったけど、雄英合格おめでとう、緋奈ちゃん』
その言葉は、両親から言われても嬉しくなかったのに、義姉に言われると嬉しくてたまらなかった。
「これぐらい余裕だって、お義姉ちゃん!」
『うふふ。 昔より成長したね。 お義姉ちゃん鼻が高い!』
と嬉しそうに声を上げる義姉。 緋奈は、相変わらずの義姉の声と態度に、クスっ、と笑う。それが聞こえたのか、
『あ。 今、緋奈ちゃん、お義姉ちゃんのこと笑ったでしょ?』
と、恐らくムスッとした表情を浮かべているであろう状態の義姉が訴えてきた。
「ごめん、お義姉ちゃん。 久しぶりに声が聞こえたから嬉しくて、つい・・・」
『ジョーダンよ、ジョーダン♪ お義姉ちゃんが一度でも、緋奈ちゃんを怒ったことがある?』
「ううん、無いよ。 もう、怖がらせないでよ、お義姉ちゃん!」
『うふふ、ごめんなさいね。 それより、雄英って体育祭が始まる時期でしょう?』
と、義姉が話を切り替える。
「うん、そうだけど」
『その日はちょうど休みがとれたから、家族みんなで応援に行くね、緋奈ちゃん』
義姉のいう家族とは、結婚した旦那と娘二人の事だ。初めて会うからドキドキする。
『それじゃあ、雄英体育祭の時に会うの楽しみにしてるね。 バイバイ、緋奈ちゃん』
「う、うん! またね、お義姉ちゃん」
その言葉を最後に通話が切れる。 緋奈は携帯の電源を消し、懐に押し込んだ。そして、用を
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