マメに食べよう!豆料理特集・4
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ュウジュウと肉が焼ける音と共に、香ばしい香りが立ち込める。
「……私、提督の事が好きです」
唐突な告白。いや、春雨の気持ち自体は察していたから今更感はあるが、はっきりと明確に伝えられたのは今回が初めてのハズだ。
「知ってる。でもな、春雨も知ってるとは思うがーー」
「解ってます!解ってますけど……この間、夕立姉さんと時雨姉さんがケッコンしたのを報告されて、姉妹として祝福したい気持ちよりも羨ましい、妬ましいという気持ちの方が勝ってしまったんです」
あぁ、そういう事か。春雨の最近の妙な態度は、姉達への嫉妬に狂っていたんだ。でも、根は優しくて真面目な娘だからな。嫉妬と姉達を祝福したいという気持ちとで板挟みになってしまってたのか。
「春雨。俺ぁ戸籍上は結婚してるし、艦娘とのケッコンだって80人を超える立派なジュウコン提督だ。それでも、俺が良いのか?」
「…………はい、提督でなくてはダメです。かけがえのない人です」
「そうか。なら、ウチの鎮守府のルールに則って俺にキュウコンしろ」
「えっ?」
「30近い歳の差の見た目も、手強い嫁艦共も、姉ちゃん達も、全て薙ぎ倒す位のつもりで艦娘としての力を付けろ。女を磨け。ウチは競争厳しいからな」
かけがえのない男を手にしたいのなら、それくらいの覚悟を持って挑むべきだ。
「俺は何人でも受け入れるし、嫌気が差して俺の下を去る者は追わない。ただし、努力もしねぇ奴は嫌いでね」
努力もせずに愛して貰おうなんてのはお門違いも甚だしい。正妻となっている金剛だって、未だに他の嫁艦に俺の隣というポジションを奪われやしないかと油断をしていない。常に自分を磨く事を忘れない。そして俺に対しても、魅力的な男であり続ける事を要求してくる。言葉ではなく、態度で理解出来る。飽きられれば俺の下を去ってしまうんじゃないか、と今でもたまに恐ろしくなる時がある。だからこそ俺も努力を惜しまない。
「まだケッコンまでには余裕があるだろ?春雨。ケッコンが出来る錬度までの間に、俺よりも魅力的な男に出会うかもしれん。まだ可能性を狭めるな、ケッコン出来る錬度になってから……それから考える位でいいんだ」
そう言って春雨の頭をポンポンしてやる。
「さて、と。今日は早霜の奴が遠征で居なくてな。正直言って店の人手が足りん。手伝ってくれると有り難いんだが?」
「……はいっ!私、頑張りますからっ!」
そう言って春雨は満面の笑みを浮かべた。その目尻にはうっすらと光る物が見えた。その日以降、『Bar Admiral』に時々メイド服の店員がお目見えするようになったのは、また別のお話。
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