USJ事件 終幕
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れた状態で両手(左腕は緑谷に支えてもらい)を脳無にかざす緋奈が意識が朦朧とする中で言葉を紡ぐ。
「なんだよそれ」
ガリガリと首筋を掻きむしりながら、死柄木はイライラしげに言葉を漏らす。
「まぁ、いいや。 お前から殺せば−−」
と、頭を切り替えて緋奈に狙いを変更した死柄木。 その瞬間、入口の方から爆音にも似た轟音が響き、厚い鉄製の扉が砂塵を巻き上げながら吹き飛んだ。
「もう大丈夫」
USJ全域にハッキリと響き渡る声。それは生徒達にとっては憧れの存在。敵と緋奈にとっては嫌悪の存在。
平和の象徴と呼ばれ、敵から人々を笑顔で守るNo.1ヒーロー、
「−−私が来た!!」
オールマイトが、そう言い放った。
?
威風堂々とした佇まい。 人々は歓喜に打ち震え、敵は恐怖に支配される。それが平和の象徴と呼ばれるオールマイト。
緋奈がこの世で三番目に嫌いなヒーロー。一番と二番は父親と母親。
ヒーローに救われる事が緋奈にとっては嫌で嫌で仕方がなかった。まるで自分は一人じゃ何も守ることの出来ない惨めな人間に思えてきて、それがとても悔しくて嫌だった。
オールマイトに助けられたのはこれで二度目。
一度目は中学生の時だ。あの時の事は思い出したくもない。語りたくもない。
あの時、オールマイトが救けに来なければ−−■■■は死なずにすんだ。
唯一、緋奈に優しくしてくれたヒーロー。
唯一、緋奈を見てくれたヒーロー。
唯一、緋奈を愛してくれたヒーロー。
そして、認めてくれた最高のヒーロー。
だから、緋奈は、ヒーローも、オールマイトも嫌いになった。
「・・・また・・・僕は・・・」
救けられた、という言葉を残し、緋奈の意識は闇の底へと沈んでいった。
?
「ん・・・」
眩い陽の光が、窓から差し込んでいる。 薬品独特の匂いが充満する広い部屋。天井は真っ白で、緋奈は、自分がいま病院のベッドに横たわっていることに気づく。寝た姿勢のまま、周囲を見渡すと、左側のテーブルに大量のフルーツが入ったバスケットと、手紙が1枚添えられていた。
「誰からだろう?」
手紙を取ろうと手を伸ばそうとする。 しかし、固定されているのか、腕が上がらない。チラッと視線を下に向けると、
「そういうこと」
と呟いた。視界に映る、左肩を固定している器具。それがどういう理由でつけられたのかも理解している。
「おや、起きたみたいだね」
と、女性の声が聞こえた。緋奈は視線を声のした方に向けると、そこには、白衣を着た小柄な婆さんが杖で体を支えながら、立っていた。
「あー、えーと、あなたは?」
見覚えのない婆
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