ヒーローは遅れてやってくる
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に来たんでしょ? 確かに敵と戦うのは怖いけどさ、ヒーローになってもアンタはさっきみたいな事言って逃げるの? わたしはそんなヒーローに守ってもらいたいとは思わない!」
情けないことばかり言う上鳴の胸ぐらを掴み、耳郎が怒声を上げる。
「・・・んな事、バカな俺でも分かってんだよ」
「−−なら」
「それでも、怖いもんは怖えんだよ!なんで俺達がこんな目に遭わなきゃなんねえんだ!こんな事がおこんなら、こんな学校くんじゃなかった!!」
耳郎の手を振り払い、上鳴は叫んだ。震える両足で立ち、恐怖に押しつぶされそうな表情で。
「そう。 なら、アンタはここで膝抱えて震えてなよ」
耳郎は冷めきった瞳で突き放すように上鳴に告げ、『行こう、八百万』と声をかけ歩き始めた。
「・・・上鳴さん」
「行けよ、八百万」
心配そうな表情でコチラに振り返る八百万に、上鳴は顔を背けて告げる。
「・・・すみません」
「・・・・」
八百万の言葉に、上鳴はギリッと下唇を噛み締めた。
(情けねえことぐらい自分が一番分かってんだ。俺だってヒーローになりたい。そう思っても身体が動かねえんだから仕方ねえだろ)
自分の行動を正当化しようと言い聞かせるように反芻する。
「・・・何してんだよ、俺」
上鳴は髪の毛をクシャッと握り、地面に座り込む。そして、顔を上げるも、そこに八百万達の姿はもうなかった。
?
セントラル広場。
「・・・え?」
「・・・う、嘘でしょ」
山岳ゾーンを抜け出して数分後、セントラル広場付近に辿り着くと、そこには信じられない光景が広がっていた。
筋骨隆々で黒い肌に頭部は脳味噌が丸見えの敵に組み伏せられている血まみれの相澤の姿。掴まれている右腕は有り得ない方向に曲がっており、トレードマークでもあるゴーグルも無造作に地に落ちており、勝敗は誰が見ても明らかであった。
『抹消』と呼ばれる個性持ちにとって難敵とも言える相澤を圧倒するということは、本来の身体能力が高いということになる。恐らく、オールマイトを殺す『策』は、脳が丸見えの気味悪い敵で間違いないだろう。
「八百万! アイツら、水難ゾーンに!!」
「あれは・・・緑谷さん達!!」
「え? ヤバくない!? 早く助けないと!」
「ですが、ここからアソコまで数メートルの距離がありますわ。今からじゃ間に合わない!」
水辺の淵に茫然と佇んでいた生徒と思しき三人―――緑谷、蛙吹、峰田の下へ向かう脳味噌剥き出しの敵と、無数の掌を貼り付けた敵を視界に捉え、助けようと駆け出すが速さが足りない。手を伸ばしても余裕で届か
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