USJ in 山岳ゾーン?
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」
「何を・・・」
唐突に喋り始めた耳郎に八百万は困惑する。
「だってヒーローでなくても、色んな仕事あるし引く手数多じゃん。 いや、純粋な疑問ね? なんで敵なんかやってんのかなって・・・・」
耳郎は自身の体で隠すようにプラグをスピーカー内蔵ブーツに繋ごうと試みる。が、
「気づかれないとでも思ったか?」
「ウェイ!?」
バチバチと電気を迸らせた手を上鳴の顔に突きつけて、敵は告げた。
「くっ!!」
「子供の浅知恵など馬鹿な大人しか通じないさ。 ヒーローの卵が人質を軽視するなよ。 お前達が抵抗しなければ、このアホは見逃してやるぜ?」
敵は殺意の篭った瞳で、緋奈達を睨み、
「他人の命か、自分らの命か・・・! さぁ・・・動くなよ・・・」
告げた。 それは、実践を経験したことのない卵達にとって、どうしようも無いほどに重圧のかかった言葉だった。 最善の選択を選ぶ勇気も覚悟も薄れ消えゆく。最初から敵に勝てると思っていたのが間違いだった。勘違いしていた。雑魚ばかりだと調子に乗った結果がコレだ。
「【人質を離せ】」
凍りついた空気の中、その声は聞こえた。
「は? 何言っ・・・ぐぅ? 手、手が勝手に・・・!?」
先程まで上鳴を掴んでいた手が離れる。敵が自らの意思で外した訳ではなく、意思に関係なく外されたのだ。敵がそれに驚くのは仕方の無いことだ。何故なら、緋奈が見せたのは風を操るということだけで、別にそれ以外は何も出来ないとは言っていない。
「あまり潜入感に囚われすぎると、足元をすくわれるよ、敵」
緋奈はそう言って、
「【そのまま抵抗するな】」
再び禁じ手である『対象の操作』を使用する。
「ちっ。 最初から騙されていたのはお前らじゃなく俺だったって訳か。訂正だ。 さすがはヒーロー志望のガキ共だ」
敵は緋奈が具現化したロープで捕縛される中、そう賞賛の声を口にした。
「は・・・はは。要望で冷却機能付けといて正解だったね。これなかったら、意識飛んでたよ」
緋奈は弱々しい笑みを浮かべて、山壁に背中を預け座り込んだ。吐きすぎたことによる疲労感と禁じ手使用による副作用で、スタミナをごっそりと持っていかれたため、動く事もままならない。
「た、助かりましたわ、緋奈さん」
「ちょっと、アンタ大丈夫!?」
「ウェ・・・。 ウェ〜〜〜イ・・・」
緋奈に駆け寄り声をかけてくる八百万達。
「う、うん。 そ、それよりも早くみんなと合流しないと・・・」
フラフラとした足取りで立ち上がろうとするが、起き上がることが出来ない。
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