影に潜む悪意
[7/7]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
の皆さんはすみやかに屋外へ批難して下さい』
警報と共に流れる放送に、食堂は不穏な空気が波紋となって広がっていく。
緋奈達も意味がわからず狼狽する中、飯田は隣に座っていた3年生に事情を聞いていた。
「校舎内に誰かが侵入してきたってことだよ! 三年間でこんなの初めてだ!! 君らも早く!!」
そう言って避難を催促してくれた上級生の指示に従い、四人も非常口から出ようとするが、瞬く間に人混みに呑まれてしまった。
(・・・うーん、ヴィランにしては大胆すぎるよなぁ)
人にもみくちゃにされながら、緋奈はそんなことを考える。
(とりあえず、窓の方に)
んしょ、とゆっくりゆっくりと人と人との隙間を潜り抜けて窓に辿り着く。と、視界に映ったのは、校門をくぐり抜け進軍する報道陣の姿だ。
(・・・報道陣か。 でも、あのセキュリティを突破できるもんなのか? ただの報道陣が、わざわざそんな策を講じるか?)
緋奈は、おかしいと疑問を抱く。報道陣だって警察に捕まるようなことはしたくないはずだ。そう考えれば雄英のセキュリティを破壊したのは報道陣ではなく別の誰か。しかも強力な個性持ちの。
と、そんなことを考えていると、
「大丈ー夫!! ただのマスコミです! なにもパニックになることはありません、大丈ー夫!! ここは雄英!! 最高峰に相応しい行動をとりましょう!!」
非常口の方から飯田の声が聞こえてきた。それと共に、混乱に陥っていた生徒達の動きが止まった。緋奈は声のした方に視線を移すと、非常口の上にある人型のシルエットと同じような体勢で壁に張り付いた飯田の姿があった。
「・・・・」
緋奈は訳の分からない表情で、非常口の上にいる飯田を眺める。と、下の方で個性を使っていたらしき麗日が飯田を地面に優しく下ろしていた。既にほかの生徒達は各々、昼放課を過ごすために食堂に戻ったり、教室に戻っていた。
それから数分後に昼放課も終わり。帰りのHRで、委員長の出久が、飯田に委員長の座を譲った。
(・・・報道陣をそそのかした誰かがいる)
そんな事を考えるが、
(・・・まぁ、そんなこと教師陣も把握してるし、任せよう)
雄英が誇るプロヒーローの教師達がその事に気づかないわけがないと、判断し、緋奈は考えるのをやめた。
この時彼等は知らなかった。 影に潜む悪意が自分達の懐まで忍び寄っていたことに。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ