屋内対人戦
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屋へと飛び込み、個性を発動する。氷で床を凍らせ、その氷を飛んで躱すのを想定し、創造した防刃性ネットを投げる。完璧な連携。
だが−−
「【炎】からの【壁】!」
もくもくと立ち込める煙の中から、個性を発動する緋奈の声が響き渡る。それと同時に、床を侵食していた氷が砕け散り、創造で作られた防刃性ネットが具現化された壁にぶつかりポトっと落ちた。
「ちっ。 もう一度だ」
轟は舌打ちして地面に足を叩きつけた。 するとそこから地面が冷やされていき氷の槍が襲いかかる。 そこから更に、
「八百万!」
「はいですわ! 轟さん!」
声をかけられた八百万は、数秒前に大量に創っておいたマトリョーシカ型煙爆弾を上空に向かって投げた。それが同時に爆発し、4階の部屋を灰色の煙が覆い尽くした。これであちらからこちらの姿は見えない。対する轟轟八百万には、生物の熱を確認できるセンサー付きゴーグルを掛けている為、緋奈達がどこにいるか分かる。
「そこだ!」
轟は確保テープを手に、周囲をキョロキョロと見渡す緋奈を視界に捉えて捕縛にかかる。やがて、緋奈の後ろ姿を完全に捉え、確保テープを伸ばした瞬間、
「轟君! 確保ー!」
真横からそんな明るい声が聞こえ、振り向いた瞬間、そこに確保テープが浮いていた。否、葉隠がそこにはいた。
「ちっ!」
轟は葉隠の持つ確保テープから逃れる為に、右手をかざし氷壁を作り出す。が、それが過ちだ。 一瞬の隙。気を1度、緋奈から葉隠に逸らしたことでチャンスを与えてしまった。
「ほいっ、と!」
シュルーッと素早く伸びた白いテープが、葉隠の方に伸ばした右腕に巻きつき、流れるような動きで轟の右腕の関節を極め行動不能にする。
「轟さん!」
「俺の事はいい。 それよりも核兵器を奪え!」
捕縛された轟が叫んだ。しかし、八百万は動かない。否、動けないのだ。というのも、彼女は判断ができない。最善の方法を思いつくことが出来ないのだ。これが実戦ではなく、筆記であれば彼女は正しい答えを即座に見つけ出すだろう。 しかし、今回の訓練は戦闘。それも実践に近い訓練。轟の考えた策は尽きた。自分で考えようにも、何が正しいのか判断出来ない。
「どうした、八百万! いいから核兵器を確保しろ!」
轟がさらに叫ぶと、
「は、はい!」
慌てて返事をして八百万は核兵器に向かって走り始めた。ただ、その行動はあまりにも遅すぎた。
「悪いけど、行かせないよ。 八百万」
「ごめんねー、八百万さん!」
「くっ。 緋奈さん。 それに葉隠さんも!」
八百万の前に立ちはだかる緋奈と確保テープを手にした葉隠。 二対一の局面。不利なのは八百万。
「ハッハッハ
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