ヒーロー基礎学
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駆け寄って開口一発にそんな感想を告げた。八百万の身につけるコスチュームは、胸元がぱっくりと開いたデザインをしていた。ただでさえ発育がいいというのに。
「・・・は、はしたない」
ズーン、と緋奈の言葉が心にクリティカルヒットした八百万はしゃがみこんで地面を指でなぞりながら呟き始めた。
「八百万? どうかし−−あばっ!?」
シュル、っと伸びてきた蛙吹の舌が再び、緋奈の頬を叩いた。
「・・・緋奈ちゃん?」
凄い剣幕で緋奈の名前を呼ぶ蛙吹に二度目の説教を受け、八百万と同じようにしゃがみこんで地面を指でなぞりながら肩を落とす。そんな光景に先行き不安のまま、オールマイトは授業の説明をしていく。
今回行うのは屋内での対人格闘訓練。
敵退治を目にすることが多いのは屋外であるが、統計で言えば、屋内の方が凶悪敵出現率は高いという話は両親から聞かされて知っている。
これもまた、超常社会においてヒーローという職業が人気を博し、果てには『ヒーロー飽和社会』と呼ばれるほどにヒーローの数が増えたのが原因だ。それはつまり、犯罪に目を光らす者達が増えたと言う事。
そのような状況の中で、わざわざ人目に着く場所で罪を犯す馬鹿は居ない。よって、賢しい敵は光の目が届かぬ屋内に免れるということだ。
君らにはこれから『敵組』と『ヒーロー組』に分かれて、2対2の屋内戦を行ってもらう!!」
「基礎訓練もなしに?」
「その基礎を知る為の訓練さ! ただし今度は、ブッ壊せばオッケーなロボじゃないのがミソだ」
蛙吹の質問に、溌剌とした声で答えるオールマイト。
だが、
「勝敗のシステムはどうなります?」
「ブッ飛ばしてもいいんスか」
「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか……?」
「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか」
「帰りた〜い」
「あとすこしの辛抱ですから、頑張りましょう、緋奈さん」
「んんん〜〜〜、聖徳太子ィィ!!!」
次々と投げかけられる質問に、拳を握って悶える姿は得も言えない初々しさがある。
その後、小さい紙切れのようなカンペを、肩を竦めるような体勢で読み上げるオールマイト。
・『敵』がアジトに核兵器を隠している。
・『ヒーロー』がそれを処理しようとしている。
・『ヒーロー』の勝利条件は、『敵』を二人とも捕縛するか、『核兵器』を回収すること。
・『敵』の勝利条件は、同じく『ヒーロー』を二人とも捕縛するか、制限時間まで『核兵器』を守り切ること。
・捕縛に用いるのは事前に配布された『確保テープ』。これを相手に巻きつければ、捕えたことになる。
・制限時間は15分。
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