ヒーロー基礎学
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とインターホンを誰かが押したのを知らせる音が鳴った。緋奈は、『こんな時間から誰だよ?』と不機嫌な表情で呟き、外の様子を見やる。そこには−−玄関の前で心配そうに立っている八百万がいた。
「・・・なんで八百万が?」
緋奈は突然の来訪者に疑問を抱く。とりあえず黙っておくのも気が引けるので、
「ちょっとそこで待ってて」
と一声かけて、玄関に向かう。廊下を歩き、玄関に辿り着くと、鍵を開け、ドアノブを回す。ガチャと扉を開き、
「おはよう。 どうしたの? 八百万」
目の前に立つ八百万に尋ねる。それに対し、
「忘れたんですの? 昨日の帰りに、お迎えに行きますと約束したはずですわよ?」
と答える。
「・・・昨日?」
「ええ、そうですわ。ただ、あの時の緋奈さんは寝起きでしたので忘れていても仕方ないですわね」
「・・・なんかごめん」
「いえ、大丈夫です。それよりも早く行きましょう。 麗日さん達が待っていますわ」
八百万はお嬢様よろしく鞄を両手で持って、告げる。
「あ、うん。 すぐ荷物持ってくるから待ってて!」
緋奈はそう言って、家に戻る。 そして、ソファに置いた片手鞄と携帯を手に、リビングの電気を消し、玄関を出て、鍵を閉めた。
「これでよしっと。 行こっか、八百万」
「はい、行きましょうか」
緋奈と八百万は談笑しながら通学路を歩き、集合場所の公園で待っていた麗日、蛙吹、葉隠、芦戸と共に学校へと向かった。
?
午前の普通科目が終わり、午後の授業。 ヒーロー科にとって1番大切な科目。
『ヒーロー基礎学』
その名の通り、ヒーローに必要な基礎を学ぶ授業。 今年から教師として赴任した平和の象徴・オールマイトによって行われる。
本日の授業内容は『BATTLE』。 要するに戦闘訓練だ。 それに伴い、生徒達には各々が注文したコスチュームが渡される。勿論、緋奈もだ。そして、更衣室に入り、コスチュームに着替えて、オールマイトに指定されたグラウンドβに集まる。
「はぁ、やる気起きない」
緋奈はため息をつく。 彼が身につけるコスチュームは、ごつくもなくかっこよくもなく、というかヒーローコスチュームっぽくない衣装だ。
多少の細工はされてはいるが、伸縮性と通気性や耐火性、そして首の後ろを冷やすための冷却機能等の災害時や戦闘時に役立つ機能を追加しただけのスポーツ用品店で売ってるような紅いラインの入った口元を隠すほどの長さをした黒色のウインドブレーカー。 そのウインドブレーカーでいうところの首辺り、緋奈の口がちょうどある位置部分には、普通であればチャックのある場所だが、そこには小型のスピーカーが埋め込まれており、その数三センチ下にチャックが付けられ
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