入試
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を穿たれた仮装敵がビルに激突し、撃沈した。窓ガラスが割れ、パラパラと地面に降り注ぐ。
「これで10P!」
緋奈はガッツポーズを決めた。
彼の【言霊】は使い方次第で最強の個性かもしれないが、絶対的力に弱点はある。
それは−−『順序』と『頭痛』だ。『自然干渉』を使ったら次は『具現化』→『自然干渉』→『自然干渉』→『具現化』という並びが大事だ。 さらに、使用する度に、頭痛が起こり、その痛みは『軽く小突かれる痛み』→『掌で叩かれる痛み』→『拳で殴られる痛み』→『針で脳を貫かれたような痛み』→『指で脳をこねくり回される痛み』→『失神するほどの痛み』の順に使用者に襲いかかってくる。
現在の【言霊】使用回数は5回。頭痛レベルは『掌で叩かれる痛み』だ。5回毎に頭痛レベルが上昇する仕組みになっている。なので頭を使って戦わなければならない。
「次はアイツらかな」
緋奈はそう呟いて、ビルから飛び降りると共に、
「【暴風】!」
と叫んだ。 それと同時に道あたりを蠢く仮装敵六体を風の刃で切り裂き破壊する。これで、22P。最低で百近くの方がいいかもしれないと考え、更に先ほど干渉した暴風を指で操り、続けざまに仮装敵を10体倒す。そこからは暴風のみで仮装敵を蹴散らしていく。やがて5分が経ち、暴風が消える。だが、ポイントは97ポイントまで到達した。
「ふぅ。まぁ、こんなもんかな」
額の汗を拭って、緋奈は大きく伸びをした。と、突然、背後の方から大きな音がした。
「ん? 地震?」
呑気そうに背後に顔を向けると、そこにいたのは−−巨大な仮装敵だった。なんと表せばいいのか、言葉にするのも難しいフォルムをしたロボット。確か、0ポイントの仮装敵だった筈だ。緋奈は自分には関係ないという表情で、こちら側へと逃げてくる受験生達の邪魔にならないように左側のビルの割れている窓から中へと侵入する。その間にもズンズンと0P仮装敵が前進する。しかも音の発生源はここだけではなく、他の場所からも響いてくる。どうやら0p仮装敵は数体存在するらしい。
試験時間は残り5分。このまま身を隠して待機していれば、余裕で合格ラインに達する。チラッと外の様子を確認し、
「・・・ここで待機してよ・・・」
うかな、と最後まで言葉が続かず、緋奈は無意識にビルから飛び出していた。
なぜなら−−0P仮装敵のせいで倒壊したであろうビルの向かいの傍の道路。そこに、足を挟まれて身動きの出来ない、前髪の両端が長い茶髪のショートボブの少女がいた。
「人助けなんて柄じゃないんだよ、僕は!」
と、誰かに八つ当たりするような叫んで、緋奈は瓦礫の下に足を挟まれている少女の元に駆け寄り、声をかける。
「君、大丈夫?」
「え・
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