234部分:第十七話 姿の見えない嫉妬その七
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第十七話 姿の見えない嫉妬その七
「その場合も考えて割り当てたから」
「ううん、何か凄くない?椎名って」
「そうだよな」
「何ていうか天才軍師?」
「そんな感じよね」
皆津島の言葉を受けて唸るようにして話した。
「ちょっと。何ていうか」
「竹中半兵衛みたいな」
「小さな軍師」
「リボンを付けた」
「小さいのだけ余計」
椎名が反応したのはそこだった。
「それ以外はいい」
「天才なのはいいんだ」
「自分でも自覚してるのかな」
「天才は九十九パーセントの努力と一パーセントの才能」
椎名が言葉に出したのはエジソンの言葉だ。尚エジソンは確かに発明ではそのようにして天才だった。だが経営者や世渡りという面ではその努力を払う余裕がなかった。人間の努力は集中されるものでありエジソンは経営者としては残念ながら天才ではなかった。
「だから嬉しい」
「本当に嬉しいのか?」
狭山は今は椎名のその無表情を見ていた。
「あんまりそうは見えないけれどな」
「嬉しい」
しかし椎名は言う。
「褒められて嬉しい」
「だったらいいけれどな」
「嬉しい。ただ」
「ただ?」
「絶対に優勝するのは事実だから」
このことはまた言った。
「皆頑張ろう」
「ええ、わかったわ」
津島が今の津島の言葉に頷いた。しかも微笑んでだ。
「優勝ね。頑張るわよ」
「赤瀬もいるしな」
これは陽太郎の言葉だ。
「学園で一番のパワーファイターもいるしな」
「僕もなんだ」
「って御前もクラス委員じゃないか」
陽太郎の突っ込みは鋭い。そこを指摘する。
「一度は喋れよ」
「だから今喋ってるけれど」
「いや、ホームルームになると絶対に椎名が喋るからな」
「僕喋る必要ないからね」
「それでか?」
首を捻って言う陽太郎だった。
「御前が喋らないのって」
「そうだけれど」
「無口だからじゃないのか」
陽太郎の突っ込みは今度はそこだった。
「それでなのか」
「うん、確かに僕は口数は少ないけれど」
自覚はしているのだった。
「それでも。全部椎名さんがやってくれるから」
「私が軍師になってるから」
また椎名が言う。
「赤瀬は指揮官と思っていい」
「指揮官っていうかロボットなんじゃ?」
「椎名が操る探偵か何かで」
「赤瀬が鉄人」
「何かそんな感じだけれど」
「それならそれで面白い」
皆の今の言葉も頷いて受け入れる椎名だった。
「美少女探偵Sとして売り出す」
「美少女かよ」
陽太郎の突っ込みは椎名にもかけられた。
「自分で言うのはどうなんだよ」
「その方が気持ちいいからそれでいきたい」
「それでか」
「そう。美少女天才軍師でもいい」
こうも言ってきた。
「どっちでもいい」
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