重なる面影
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と、さらには自分の攻撃を防いでしまう彼に恐怖すら覚えてしまった。
「大した設定だな。そんなので勝てると思ってるのか?」
ニヤっと笑みを浮かべるシリル。調子が出てきた相棒の姿を見ていたセシリーは、思わず大盛り上がりだ。
「設定?ふざけたこと言わないでくれる?」
「「??」」
悪ふざけでそんなことを言っているのだと思っていたシリルとセシリー。しかし、彼のその一言でヨザイネの顔色が変わった。
「私は天使だったのよ。400年前までね」
「あ・・・そうですか・・・」
なおも狂言を続けるのかとイライラしてきたシリルは吐き捨てるようにそう答えた。そのまま彼はヨザイネへと突撃する。
「そんじゃあ、天使は天国にでも帰れよ!!」
拳を構えて突進。ヨザイネは自分の言葉を信じないシリルに目を細める。
「天国じゃなく、天界よ、おバカさん」
その拳を払い落とし地面に叩き付けられるシリル。ヨザイネは彼を踏みつけようとするが、彼は間一髪で回避した。
「しぶといわね、勝てもしないのに」
イライラが立ち込めていくヨザイネ。その言葉を聞いたシリルは立ち上がり再度突っ込む。
「勝てるかどうか決めるのはお前じゃない!!俺の心が決めるんだ!!」
「!!」
両腕にドラゴンの翼のように魔力を高めていく。その姿を見たヨザイネは目を見開いた。
「なんで・・・」
迫ってくる少年の目が、ある人物と重なる。彼女がもっとも愛したその青年と、まるでそっくりだった。
「水竜の翼撃!!」
「うわあああああ!!」
少年の動きに気を取られていたヨザイネはそれを交わすことなどできなかった。宙に打ち上げられた彼女は体勢を整えることもできず叩き付けられる。
「なんで・・・どうしてなの・・・」
涙声の少女にギョッとする。倒れたままの少女は目元を押さえながら、懸命に嗚咽を抑えている。
「なんであんたみたいなドラゴンが・・・あの人と同じ目をしているの?」
「あの人?」
目頭を熱くしたままシリルを見つめるヨザイネ。その目に映る少年に、重なる水色の髪をした最愛の男性。
「あんた・・・名前は?」
「シリル・・・シリル・アデナウアー」
その名前を聞いた瞬間、彼女は驚愕した。彼をドラゴンの子供としか認識していなかった彼女は、彼の名前など気にも止めていなかったからだ。
「あの子と同じ名前・・・どうして・・・」
体を起こした彼女は、シリルを見据えたまま固まってしまう。そして、次に放たれる名前に、シリルもセシリーも目を見開くことになる。
「どういうことなの、ヴァッサボーネ」
「「え?」」
突然出てきた父の名前。なぜ彼女が彼の父の名を口にするのか、少年たちは困惑するしかなかった
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