重なる面影
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期間を経てしまった母と子。それをようやく、こんな形にはなってしまったがわかり合うことができた彼女には、怖いものなど何もない。
「そうか・・・」
愛情が芽生えた親子の声を聞いたオーガストは、唸るように呟く。その姿に覇気は感じ取ることができない。
「ならば、なぜ陛下の子は愛されなかったのか」
その問いを出された瞬間、三人は固まった。彼のその言葉の意味が全く持ってわからなかったからだ。
「ティオスのことかしら?オーガスト」
陛下の子と言われて真っ先に思い浮かぶのはティオス。エルザとウェンディもマカロフから聞かされた情報しかないため、彼のことがゼレフの子供だと思っていた。
「そなたは子供がいないからわからないかもしれませんが、あれは親なりの愛情なのよ。優しい陛下も――――」
「違う」
長きに渡り離れていたとはいえ、子への愛情は持っていたアイリーンがゼレフのティオスへの対応について話そうとしたが、オーガストが口を挟んだ。
「ティオス・・・ラーケイド・・・二人は陛下の子ではない」
「「「!!」」」
オーガストの突然の宣言に驚愕の三人。言葉を失っている彼女たちに、オーガストはなおも続ける。
「ラーケイドは陛下の作り出したエーテリアス。ティオスはRシステムによって蘇ったことにより、陛下に近い魔力を手に入れただけ」
「Rシステムだと?」
かつてジェラールが使用したその魔法によりティオスが生まれたと聞かされたエルザは唖然とする。Rシステムはゼレフ書の魔法・・・つまり、エクリプスと同様に使用者はゼレフに近い魔力が体内に残留してしまう。
それがティオスをゼレフの子と勘違いされる大きな原因。
「じゃあ、あなたが言うゼレフの子供って・・・」
これにより彼女たちは彼が誰のことを言っているのかわからなくなり、完全に呆けてしまう。悲しそうなオーガストの表情に、少女たちは気が付かない。
「知らずとも良い。私だけが知っていればそれで」
そう言って杖を構えるオーガスト。アイリーンは彼に攻撃させまいと魔法を放つ。
「大地への付加。だが、もう力は残っていないか?」
「!!」
地面が削れ落ちたが、それを難なく回避する。オーガストはそのままアイリーンに突進すると、彼女の腹部に杖を突き立てた。
「ガハッ!!」
「母さん!!」
既にグロッキーだったアイリーンにはこの一撃で十分だった。突き飛ばされ倒れ込んだアイリーン。オーガストは彼女の脇を抜けると、エルザにそのまま突撃する。
「親が子を失えば、どうなってしまうのか」
「やめて・・・」
動くことができないエルザ。アイリーンももう助けられる距離にいない。
「親と子の愛な
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