重なる面影
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「レオンが・・・」
ヨザイネからティオスの正体を聞かされたシリルの心は揺れていた。プルプルと震えている彼を見て、セシリーはアタフタしている。
「レオンがティオスのわけないだろ!!」
信じたくない想いと、もしかしたらという想いが交錯している。そんな彼が本来の力を出せるわけもなく・・・
「本当は気付いていたんでしょ?心のどこかでは」
鉄拳を振りかざそうとしたシリルを足蹴にするヨザイネ。バランスが崩れた彼にさらなる追撃を喰らわせる。
「母なる大地よ、真実に背けるドラゴンに天罰を!!」
突如訪れる大きな揺れ。シリルはそれに立っていられなくなり膝をつく。
「飛べない自分を恨みなさい」
「!!」
飛び上がったヨザイネは体を一回転させ動けなくなっているシリルの後頭部にかかと落としを喰らわせる。
「ガッ!!」
高いところからの勢いのある攻撃に地面にめり込む。続けてヨザイネは少年に一撃を食らわせようとしたが・・・
「や〜!!」
「キャッ!!」
間一髪でセシリーが体当たりをし、彼女の流れを断ち切る。
「大丈夫〜!?シリル〜!!」
心配そうに近寄ってきた友。起き上がった少年はその彼女を押し退けた。
「邪魔しないでくれ、セシリー」
「でも〜!!」
いつもの彼ではない。感謝の言葉を述べることもなく、淡々としている彼は明らかに普段の少年ではない。
「大丈夫。もう立ち直った」
そう思っていたセシリーだったが、シリルの横顔を見て安心していた。態度こそ普段とは違っていたが、その真剣な表情は彼そのもの。先程の冷静さの欠けた行動をまたやるようなことはないと、確信を持った。
「ふふっ、自分を保つために必死ね」
そんな彼を見た少女は小さく微笑んだ。見下すようなその視線に、猫耳の少女の背筋が凍り付いた。
「ここからどうなってしまうのかしら、あなたの心は」
「アイリーン、これは陛下への裏切りということでよいのか?」
その頃、傷だらけのアイリーンが相対しているオーガストは、怒るわけでもなく静かに問い掛けた。
「・・・ごめんなさい。でも・・・」
ボロボロで立っているのもやっとはずの緋色の女王。しかし、彼女は痛む体にムチを打ち、仁王立ちする。
「私はこの子を守ります。命に代えても」
「母さん・・・」
かつてドラゴンたちと戦うことを決意した時のように、背筋の伸びた彼女の姿は凛々しかった。それに見惚れるエルザとウェンディ。その姿にオーガストは無表情でさらに問いかける。
「親は子を愛し、子は親を愛する。それがお主の答えか?」
「えぇ、そうですわ」
長いすれ違いの
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