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獣篇V
35 二兎を追う者は、疲労感が半端ない。
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_「高杉晋助?」

_「知らんのか?以前我らと盟約を交わした、鬼兵隊なる武装集団の首領よぉ。」

_「もしかして、地球の?」


なんか、そんな話だった。



そろそろ会合に行かねばならない。
晋助に持ってもらっていた書類の入った封筒を渡してもらって、会合の行われる部屋に向かう。勿論この間、神威の盗み聞きも同時進行だ。

***

部屋の前に着くと、自動ドアで扉が開いた。


_「ようこそいらっしゃいました、久坂殿と高杉殿。」

_「ええ。ありがとうございます。これが、例の報告書類です。」

_「元、とは言え我らの仲間が粗相を起こしまして、申し訳ないですなぁ。」

_「いえいえ。お気遣いなく。」



耳から聞こえてくる。
_「…丁か半か…ククク)」


_「じゃあ、丁。」

_「ククク)…半じゃ。」

_「ありゃりゃ。負けちった。」



_「さ、高杉殿も、久坂殿も、どうぞどうぞ。」

と、フカフカの椅子に案内された。

_「では、軽く華蛇(かのじょ)の地球での経緯についてお話ししておきましょう。報告書にも記しました通り、宇宙海賊春雨、元第四師団団長 華蛇は、地球の江戸にある『かぶき町』の四天王『孔雀姫』として君臨していました。ですが、派閥争いによって組織の金を持ち出したことを罪に問われ、今回、宇宙海賊春雨 提督殿と第七師団団長 神威殿を経由して、我々鬼兵隊に華蛇(かのじょ)を捕らえるように、との依頼でしたので、遂行して参りました。」

_「…そうか。神威が。なるほど…分かりました。」


阿伏兎が呟いている。
_「嘆かわしいねぇ。春雨第4師団団長と言えばァ、かつては闇に咲一輪の花なんぞと呼ばれていたもんだがァ…派閥争いで居場所を失い、組織の金を持ち逃げして、どこに姿を消しちまったと思ってたらァ。…まさかこんな姿でご帰還たァねェ…。」

_「ホントだねぇ。まさか阿伏兎の好みがこういう女狐だったなんて。」

_「フ)餓鬼にゃァ分かるまい。世の中何でも手の平サイズ。コンパクト時代になっちまったがねェ…。女だけは手にもて余すくらいがちょうどいいんだ。」

_「DSくらい?」

_「うんにゃ、メガドライブくらいだ。」

_「なるほどォ。道理で今まで探し回っても見つからない訳だ。なんせ阿伏兎が気に入るメガドライブだもんネ。でもあっちにも居場所は無かったみたいだネ。」

_「博打が過ぎたネ。華蛇(かのじょ)も。お前も。」

_「オーイ、妙な勘繰りは止めろォ。どっかのバカ団長じゃねェんだ。仕事にそんな私情を持ち込んでたまるかァ。」


_「ハイハイ。」

_「そもそもコイツは、面も名も変えて地球に逃げてたんだぞォ!?
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