33 悪い夢を見ていた。
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_「やめろォォォッ!」
と言って、その手を掴んだ。
不思議なことに、自分の腕を自分で掴んでいる感覚がする。
それを見ていた晋助が、ハッとする。
_「零杏!?」
瞳の色でも変わったのだろうか。
届くか分からないが、一応やってみるしかあるまい。
_「ソイツは獣よッ!惑わされないで!」
_「五月蝿いわねぇ。お黙り!」
標的が変わったようだ。こちらに獣が迫ってくる。
すんでのところで交わした。
端から見ていると、なんとも不思議な光景が広がっているのだろう。
1人で取っ組み合っているのだから。
もう1人の自分が、ナイフを持って迫ってくる。とっさに避けたので、ギリギリ頬を掠めてその横にナイフが刺さる。
_「お前なんか、殺してやる。死ぬがいい、白夜叉…いや、久坂零杏。」
ナイフを取ろうと躍起になっている。
必死で攻撃を交わしつつ、手刀で相手の腕と首の経穴を刺す。大丈夫、いくら自分とは言えど、動かなくなることはない。私は彼女ではないから。
_「残念ながら、私はまだ死なないわ。死ぬのは貴方よ、獣…いや、零杏とでも呼んだ方がいいのかしら?」
片眉を上げて、挑発する。
良かった、どうやら先程の技が腕と首の経穴に命中したようだ。
_「クソッ)動かない!貴様…何しやがった?」
_「何をしたか、ですって?それは企業秘密ですわ。」
と言って、太腿の経穴を刺す。
動かなくなったのを確認してから、自分の上に股がって、まだ彼女が動かない腕で握っているナイフを手に取る。
_「死ぬのは…貴様だ、…獣よ!」
思いっきり心臓目掛けて突き刺すと、急に視界が明るくなった。
晋助が腕に私を抱えて、心配そうに覗き込んでいる。
_「零杏!オイ、しっかりしろ。」
夢から覚めたような気分だ。
_「し、晋助…?」
_「突然目の色変えてよォ、口調も変わるもんだから焦っちまったぜェ。」
_「瞳の色が…変わったの?」
_「あァ。瞳の色だ。」
_「そう。ごめんなさいね、迷惑をかけて。あれ、獣だったのよ。突然私を押し退けて出てきたからびっくりしちゃって。とりあえず刺してきたから戻ってこれたけど…また失敗したわね。」
_「お前にオレを、殺すこたァできねェよ。だがな、戻ってきてくれて良かった。零杏、お前はオレの側にいればいいんだァ。」
抱えられたままギュッと抱きしめられた。フワッと晋助の香りがする。
_「でもまた獣が出てきたら、どうするの?」
_「さァな。その時はその時だ。あとしばらくしたら到着だ。何か飲むか?」
_「…じゃあ、スープをお願いしてもいい
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