十三匹め
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「きゅぅ!」
シラヌイはプイッと顔を背けた。
「あぁ…もう…」
パリパリと氷を剥がしたあとのボーデンの腹は赤くなっていた。
ボーデンはソファーから立ち、戸棚から小瓶を取り出した。
中身は薄い赤で、仄かに光る液体だった。
中身を少し出して手に馴染ませ、患部へ塗る。
「おぉ…きくぅ…」
塗られた場所の赤みが急速に薄れる。
「きゅー?」
「ああ、これか?」
振り返ったボーデンがちゃぷちゃぷと小瓶の中身を揺らす。
「100倍希釈のエリクシールだ。ポーション変わりに丁度いいんだぜ」
「きゅぅ!?」
驚いた声を上げるシラヌイにボーデンが返答した。
「だって普通のポーションだと用途別でやんねぇといけねぇからよ。
だったらまだエリクシール作って薄めた方が楽って訳さ」
「きゅー…」
「大丈夫だって!どうせ自作だし!」
「きゅぅー?」
「おい、その目はなんだ。これでも国家錬金術師筆頭だぞ」
「……………きゅ?」
「嘘だろ、じゃねぇよ。アトリエにダース単位でおいてあるっつーの」
「…きゅっ」
「明日の朝お前の鼻からエリクシールの原液突っ込んで起こしてやる。キクぞぉー」
とボーデンがアホな事を言い、それを鼻で笑ったシラヌイは獣化を解いた。
「晩御飯にするよ」
と言ってキッチンへ。
「うーい」
「お皿どこー?」
「あー。ちょっと待ってな」
ボーデンが皿を鍋の横に置いた。
「ボーデン、パンあるなら切っといて」
「あいよ」
シラヌイは台に乗って、氷で作ったお玉杓子でスープを皿によそった。
その皿を少しよたつきながらテーブルへ。
「食べよう。ボーデン」
「おう」
ボーデンが切ったバゲットを皿に乗せ、テーブルに置いた。
二人は向き合うように座った。
「「いただきます」」
ボーデンはスプーンでトマトスープを掬った。
くんくんと匂いを嗅ぐ。
「ちゃんとアルコールは飛ばしてあるよ」
「おう、そうか」
「食えない物もいれてないよ」
「………………」
「おいボーデン。その信用できないみたいな顔はなんだ?」
「だってお前訳のわからん粉入れてたし…」
「あれは…ただ膨らむだけだよ。今回は魔法で煮込んだけどヤバイのは入れてないし」
「ふーん…何を使ったんだ?」
「風属性で疑似圧力鍋。仕組みはこんど話すけど、煮込みの時間を短縮できる。
まぁ、加減間違えて具材全部溶けたけど」
ボーデンは自分が食べているスープを改めて見た。
そしてスプーンで掬う。
スープだけだ。具がない。
「シラヌイ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ