暁 〜小説投稿サイト〜
人徳?いいえモフ徳です。
十三匹め
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「んぅ………ん?」

目を覚ましたボーデンは手の中の暖かみが消えている事に気づいた。

「シラヌイ!」

ベッドから出てドタドタと部屋を後にする。

家中を探して、キッチンに行き着いた。

「あれ?起きたのボーデン?さっきからドタバタしてたけどどうしたの?黒光するGでも見つけた?」

シラヌイは台に乗って料理をしていた。

「はぁー…心配させやがって…」

「うゅー?」

「なんでもねぇよ…」

「ならいいけど…」

ボーデンがシラヌイの後ろに立ち、手元を覗いた。

鍋の中でスープが煮えていた。

「なに作ってるんだ?」

「肉じゃがを作ろうとしてビーフシチューになってトマトを入れすぎて最早トマトスープになった何か」

「は?」

「とりあえず使ったのは肉、玉ねぎ、人参、トマト。あとワイン」

「まぁ…いいけど。って待て!なんで酒の在処を…!?」

「酒精の匂いがぷんぷんしてたから。
僕って結構鼻が効くんだよ」

「ふぁっく」

「こらこら、若い女の子がはしたないよ」

「アタシはもう47だ!」

「ボーデン。まだ寝ぼけてるの?
逆サバを読むにしてもその顔つきで47はないでしょ。
せいぜい27って所かな」

「じゃぁもうそれでいいよ…」

シラヌイは夕飯を作り終え、振り返った。

「もう食べる?」

「もう少し後でいいぜ」

「そ。わかった」

シラヌイは踏み台から下りて、台を隅に置いた。

「それどうしたんだ?」

綺麗な木箱だった。

釘もきちんと打ってある。

「ちょっと裏庭の薪もらったよ」

「工具は?」

「土と石から錬成した。釘も一緒」

「魔力足りてんのか?」

「足りてなかったら倒れてるよ」

ボーデンはシラヌイを抱き上げて、ソファーに座った。

そして膝の上でシラヌイを腹這いにさせた。

「ふぁぁぁぁ…尻尾モフモフ…」

「モフるのはいいけどさ、優しくしてよね」

「おう…わかってるぞ…」

尻尾を撫で回すボーデンだったが、次第に根元辺りを触り始め…

「クリエイトアクア!
フェイズトランストゥソリッド!」

ボーデンの服の中に手を突っ込んだシラヌイは、その柔肌に手を押し付けて呪文を口にした。

「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」

シラヌイは即座に獣化し、シュタッと床に下りた。

「きゅー!」

と抗議の声を上げるシラヌイを他所に、ボーデンは服を捲り上げ、自分の体に張り付いた氷を割っていた。

横は脇腹辺りまで、縦は腹部から鳩尾あたりまでが氷に覆われている。

「つめたっ!おいシラヌイ!アタシの瑞々しい御肌が凍傷になったらどうする気だ!」

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ