閑話 それぞれ2
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「警官隊が来る前に全員やられると」
「軍隊と付き合って君まで馬鹿になったのかね。何も暴力だけが、事態を解決する手段ではないだろう。相手次第では階級や権力を盾にして喧嘩を止めることだってできるかもしれないし、あるいは警官隊が来るまで時間をつぶすことだってできる。または、その場で謝る――まあ、土下座でもされたら、いかに喧嘩っ早い馬鹿な軍人でも困るだろう」
「女連れでそんな無様な真似ができますか」
「報告書だけでしかみていないが、見る限り、いくら無様だろうと必要であればやるだろう。頭を下げるのは無料だからな。君は染まりすぎて、フェザーンの流儀まで忘れたのかね」
モニターの前で男は言葉を失ったようだ。
「この件でもこちらは何も手に入れられなかったが、あちらは実にいろいろな情報を手に入れている。まず、装甲車の件の裏に何かがあるという確信を持たせただろうし。それに、そちらの暗部の一人を見られている」
「まさか。それだけで」
「ここまでの報告書を見る限り、確実にこいつは暗部の顔を見て、今頃は調べてもいるだろう。しばらくハイネセンから外して、オーディンにでもやった方がいいだろうな。できるなら担当していた仕事についても取りやめや計画の変更を考えた方がいい」
「それはいささか、過大評価ではございませんか」
「過小評価で装甲車を負担させられたことを忘れては困るな。今回は問題ないといったが、次があれば間違いなく、君の責任だぞ」
強くそう言って、ルビンスキーはモニターのスイッチを消した。
黒くなった画面で、禿頭の男が不満そうにモニターを睨んでいた。
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