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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
閑話 それぞれ2
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いて返せば、二人は同時に踵を返した。
 この場所は寒すぎる。
 そして、長くいれば、ずっといたくなる。

 静かな帰り道は、再び枯れた芝を踏みしめる音が鳴った。
 しばらく歩いて、やがてドワイト・グリーンヒルは重い口を開いた。
「学校はどうだ」
「うん、厳しいけれど、楽しいわ。戦術シミュレートは残念だったけど」
「ああ。あの集団シミュレート訓練か」

 過去にグリーンヒルも教頭をした経験があったが、その当時は大会などといったものはなかった。
近年になってシドニー・シトレ大将が校長時代に取り入れたものだと聞いている。
 イベント好きなお方らしいことではあったが、
「楽しむのは結構だが、シミュレート訓練の本来の目的を忘れてはだめだ。シミュレートで勝ったところで、本番で勝てなければ意味がないのだからな」

「ええ、わかっているわ、父様。でも、私も本戦の場所にいたいと思った。みんな凄かったんだから。父様も一度見に来ればわかると思うわ」
 いささか興奮したように話すフレデリカに、ドワイトは若干の戸惑いを覚える。
 子供のガス抜き程度に考えていたのは、間違っていたのだろうか。
 だが、それよりも娘が楽しそうなことの方が嬉しかった。
 仲間に恵まれたことは良いことだ。
「友人はできたのか?」

「ええ。前にも話したことあると思うけど、凄い友達よ」
「フレデリカの話は、少し大げさすぎるからな。話半分に聞いておかないと」
「そんなことないわ」
「そういう事にしておこう」

 頬を膨らませた姿に、小さく笑った。
 息が白い。
「寒くなって来たな、今夜は暖かいものでも食べに行こうか」
「あら。せっかく一緒なのだから、ご飯くらい作るわよ」

「フレデリカ。私は暖かいものが食べたいな」
 首をかしげるフレデリカに、もう一度強く言って、ドワイトは歩き出した。
 平和な光景だった。
 願わくは――それが続くように。
 そのためにドワイト・グリーンヒルは危険なイゼルローンへと立ち向かうのだ。

 軍人である以上、娘もまたいつかは危険な場所に向かうのだろう。
 だが、あと数年であるが、平和な環境にいてくれることに、ほっとしている。
 果たして、そのことを妻は許してくれるだろうか。
 隣でうつむく顔が、上がった。
「アツアツのグラタンって、パンにはさめるかしら」

 そうではない。

 + + +

 アレックス・キャゼルヌ大佐。

 間接照明が光る薄暗い店内。
 色づいた木の壁が、年を経たことを現していた。
 丸いテーブルとソファ付きの四角いテーブルが、やや広めに配置されており、重厚な木製のカウンターの向こうには、何種類もの酒瓶が並んで、自己主張をしている。
 落ち着いた雰囲気の店内から
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