163 恋心
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かせた。
「うわあ、すごいね!」
「そうよ。だから私藤木君に大会に出るのを勧めたのよ」
「へえ」
藤木が一演技を見せて三人の所に戻って来た。
「藤木君、オリンピックの選手みたいだね!」
みきえが賞賛した。
「ははは、ありがとう。まあ、僕はスケート以外じゃ何もできないけどね」
「まあ、まあ、私と一緒に滑っていい?」
「うん、いいよ!」
藤木はみきえと手を繋ぎ、滑り出した。みどりは藤木と手を繋ぐみきえを見て羨ましくなった。
「吉川さん、私達も滑ろうか」
「はい!」
みどりと堀は二人で滑り出した。
「うわあ、ここもいい眺めだねえ!」
「ええ、隣町もいいわねっ!」
たかしと城ヶ崎は隣町の川沿いの道を歩いていた。隣町の散歩もまた悪くないと思う二人だった。しかし、その時、横から野球のボールが飛んできた。
「キャアっ!」
城ヶ崎が避けようとしたが、それをベスがキャッチした。
「ベス、ありがとうっ!」
たかしはベスに感心した。
「ベス、凄いね!タロもこんな事できるかな?」
「大きくなればきっとで・・・」
「おい、ボール返せよ!」
ボールの持ち主と思われる男子二名が寄ってきた。
「ウエッ、犬がくわえやがって!汚ねえな!!」
「何よっ!あんた達がそんなとこでキャッチボールしてるからでしょっ!」
「ウエッ、てめえやる気か!?」
「なんだこいつ!頭にウンコ付けやがって!キモいな!」
「誰が頭にウンコ付けてるですってっ!?」
城ヶ崎は髪型を馬鹿にされて激昂した。
「そうだよ、今のは失礼だよ!」
「うるせえ!お前も調子のりやがって!お前らの犬なんてこうしてやる!」
二人の男子は手にはめているグラブを外してベスとタロにぶつけた。
「な、何て事を・・・!!」
たかしは怒りが込み上がった。
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