暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート
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を上げてこなかった理由は何? 言っておくけど、アリア様だと判っていて黙っていたのなら、これも立派な職務怠慢よ」
 私を見下ろす元上司(プリシラ)の目がちょっと冷たい。
 「ロザリアが、アリア信仰との関わりを快く思ってなかったので」
 「何故?」
 「東区の教会から姿を消すまで、ロザリアにはアリアとしての記憶が無かったんです。単純に、自身が持つ力を利用されたくなかったのでしょう」
 「…………返す言葉も無いわね」
 早い段階で重役達がロザリアの存在を掴んでいたら。アリアと同じ色彩と不思議な力を持つロザリアは、例え本人にアリアとしての自覚が無くても、確実に信仰の象徴へと担ぎ上げられていた。ロザリアの意思は完全に無視して、だ。プリシラにもそれが解るから、その辺りの追及はしないらしい。
 一瞬複雑な表情を見せたものの、両手を腰に当てつつ仕方がないといった(てい)で頷いてくれた。
 「良いわ。協力を約束しましょう。政治面ではエルーラン殿下が。宗教面では私が。貴方達を余計な争いの火種にしないよう、全力で支えます」
 「ありがとうございます、プリシラ」
 敵に回ったら心底恐ろしい人物だが。その分、味方でいてくれる彼女の全力ほど頼もしいものは無い。
 ただ……

 「ただし!」

 …………………………対価要求(これ)が無ければもっと心中穏やかでいられるのだけど。
 今度は何を要求されるのかと背筋を伸ばせば、横並びしている全員の目線も同時に上がった。
 うん。覚悟はできている。

 「貴方方は(しばら)くの間、私とミートリッテの部屋から一歩も出ないこと! アリア様……今はロザリア様とお呼びするべきかしら? 彼女にも幾つか話を伺わねばならないし、殿下方にも「此処に来るまでの移動時間と手続き」が必要でしょう。今回のように黙って出入りされても迷惑ですからね。万事、私の指示に従ってくださいませ」

 『従えない子は、お・し・お・き。』

 「「アイ、マム!」」
 プリシラの微笑みが零れ落ちた瞬間、殿下とフィレスさんの素早い返答が重なった。二人にも不穏な副音声が聴こえているに違いない。びっくりするほど息ぴったりだ。
 「良いお返事を頂けて何よりですわ。では、殿下と……レゾネクトさん? は此処で待機。リーシェさんとフィレスさんとクロちゃんは、そのままミートリッテの部屋へ入って頂戴。クロちゃんはロザリア様を寝室に横たえたら直ぐに戻って来ること。手狭にさせて悪いんだけど、案内してあげてね。ミートリッテ」
 「あ、はい。承りました」
 プリシラの指示を受け取ったミートリッテさんが、此方(こちら)へどうぞと私達を執務室の片隅に手招こうとする。其処には白いカーテンで隠された飴色の扉が一枚。補佐専用の部屋と繋がっているのだろう。
 こうい
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