暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 1
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
リシラの生膝が、私達を威嚇するように開いた。
 というか、『生贄』扱いの私と第二王子殿下はともかく、フィレスさんとリーシェ、ついでに何故かレゾネクトも一緒に正座しちゃってるんですが。
 生存本能?

「さて。中央教会は治外法権と言えど、王国内。しかも王都の中心地です。本来ならば、この場において最も高貴な身分のエルーラン殿下にこのような態度を執れば、いかにこの身が高位聖職のものであっても不敬と見なされ、相応の罰を受けて然るべきでしょう。ですが。それ以前の問題として。女の仕事場に、なにやら刃を潰した剣と隠し武器と涙の痕が見受けられる少女と気絶した少女を抱えて、事前連絡もなくいきなり大挙として押しかけてきた非礼に関しては、貴方方に認めてもらわなければなりません。当然ながら、覚悟あっての言動ですわよね? エルーラン殿下?」

『教会に武器を持ち込むとか、ケンカ売ってるの? バカなの? しかも、そんな小さい女の子を泣かせてるって、いったいどういうこと? 大の男が揃いも揃って、何をしでかしたワケ? ちょっと痛い目見せましょうか』

 副音声が怖すぎる。
 何気に殿下とフィレスさんが()()()()()()()であろう武器とその状態まで一目で看破するこの女性の目は、どうなっているのだろうか。

「あー……うむ。お怒りはごもっともだ、プリシラ次期大司教殿。それと、ミートリッテ第一補佐。国政面でも宗教面でも重要な案件を扱う執務室に、無断で入り込んだばかりか、そちらと面識がない人物を複数引き連れてきた非礼に関しては、全面的にこちらの不手際であると認めよう。申し訳ない」
「では、私の不敬にも寛容を」
「無論。私の立場は一神父である。この場の主導権は貴女にお譲りしよう(まだ死にたくないんで)」

 声が漏れてます、殿下。

「(うわぁー……)」

 そんな殿下に、プリシラが座っていた椅子の左斜め後ろからこちらを覗き見ていた金髪藍目の女性が、同情めいた小声を……って、

 え?
 プリシラ?
 プリシラが二人居る?

 不躾にもジッと見てしまった私に気付いた女性が、両目を瞬かせた直後、礼儀正しく腰を折って挨拶してくれた。
 礼儀作法をきっちり仕込まれた人間の、上流階級にも通用する美しい礼。
 ただ、ほんの少しだけ、落ち着きのなさが滲み出ている。

 よくよく見れば幾分か年若いようだし、髪の長さも違う。
 プリシラとは別人だ。当たり前だけど。
 プリシラの血縁だろうか?

 見られてしまった後ではどうしようもない。
 にしても、あまり他人を巻き込みたくはなかったのだけど。

「ありがとうございます。早速ですが、私の手法で進行いたしますわね」
「ご存分に」

 キリッと
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ