暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート
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リシラ次期大司教殿。それと、ミートリッテ第一補佐。国政面でも宗教面でも重要な案件を扱うこの執務室に無断で入り込んだばかりか、其方(そちら)と面識が無い人物を複数引き連れて来た事は、全面的に此方(こちら)の不手際であると認めよう。申し訳ない」
 「では、私の不敬にも寛容を」
 「無論。私の立場は一神父の物として、この場の主導権は貴女にお譲りしよう(死にたくないんで)」
 殿下。声が漏れてます。
 「(……うわぁー……)」
 そんな殿下に、プリシラの斜め後ろから覗き見ていた金髪藍目の女性が同情めいた小声を……って……
 え? プリシラ?
 プリシラが二人居る?
 思わずじっと見てしまった自分に気付いた女性が、ぱちぱちと両目を瞬かせた直後、礼儀正しく腰を折って挨拶してくれた。きっちり仕込まれた人間の、美しい礼。ただ、ほんの少しだけ落ち着きの無さが滲み出ている。よくよく見れば幾分か年若いようだし、プリシラとは別人だ(当たり前だけど)。
 プリシラの血縁だろうか?
 見られてしまった後ではどうしようもない……にしても、あまり他人を巻き込みたくはなかったのだが。
 「ありがとうございます。早速ですが、私の手法で進行させていただきますわね」
 「ご存分に」
 キリっとした面持ちの殿下が、死んだ魚の目でプリシラを見上げる。
 プリシラは瞬時に笑顔を引っ込め

 「人員整理」
 「神父のソレスタ。元神父のクロスツェル。女騎士のフィレス。エルフのリーシェ。元魔王のレゾネクト。アリア信仰が主神・女神アリアであり、人間としての意識も別個に持つロザリア。以上、男性三名・女性四名。計七名」
 「はいっ!?」
 ミートリッテ第一補佐と呼ばれた女性が驚きで声を上げ、プリシラの一瞥で慌てて口元を押さえる。
 ……普通はそういう反応ですよね。ええ。
 プリシラの落ち着きようが異常なだけで。

 「目的整理」
 「女神アリアを含む人外生物の存在・行動を秘匿する為の協力要請」
 淡々と現状把握に努めるプリシラ。
 対する殿下も淡々と答えていく。

 同じ要領で質疑応答を何度か繰り返した後、目蓋を閉じたプリシラが天井を仰いで溜め息を吐いた。
 「要するに……貴方が東区で救えなかったと言っていた少女の正体が、今貴方の腕の中で眠っている方なのね? クロスツェル」
 「はい」
 プリシラは、べゼドラと契約した私の愚行を知らない。
 私のかつての信仰心と行動とロザリアの容姿等々から、彼女なりにいろいろ推測したようだ。正座してもロザリアを降ろそうとしない私を見て、そう判断しただけかも知れないが。
 「はぁー……。追跡できなくなった時点でなにかしら有るとは思っていたけど……まさか、本当にアリア様が顕現されていたなんてね。貴方が教会へ招いた頃に報告
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