第2幕
ep20 統一世界
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西暦2311年
住まいにしているボロビルの屋上で、刹那・F・セイエイは空を見上げていた。隣街で購入した望遠鏡を両目に添えて、青空の一点に狙いを定める。
赤いGN粒子を放出する、人型の兵器ーーMS『ジンクス』だ。機体はライトブルーを基調とした色合いになっている。
ジンクスの正式配備が始まってまだ間もない、西暦2311年。国際連合は翌年に地球連邦として発足予定で、今はその準備を進めている。
だが、国連の動きは強引かつ独善的であり、それに反発する者たちが生まれる。その代表格であるPMCーー民間軍事会社や各国軍のMSパイロットなどは『反国連』として統一への動きに抵抗を示した。
三大国家群から成り立っていた世界は1つにまとまり、ジンクスという確立した『力』を手にした。だが、『敵』がいなくては『力』を持つ意味がない。そういう観点で、反国連という対抗勢力は国連の軍備統一と増強に明確な理由をもたらした。
結論として、この世界に戦いはなくなっていない。ソレスタルビーイングが倒された今、世界は軍備統一に向けた争いが絶えず起きている。
ーー変わらない。どこも。
3年前の国連軍との最終決戦後、刹那は世界を放浪していた。自身の行いが世界にどのような影響を与えたのか。彼らが行った『武力による戦争根絶』が、世界に何をもたらしたのか、自分の目で確かめるために。
上空を飛ぶジンクスは3機一個小隊だ。彼らの進行する先は、反国連と国連軍が展開している戦闘地域がある。
ーー掃討戦か。
反国連が使用しているのは、非太陽炉搭載の旧型MSだ。ガンダムと熾烈な戦闘ができたジンクスとの能力差は正に圧倒的だろう。
自分の目で見て歩いたからこそ、刹那は痛感した。自分たちが変えようとした世界は、いまだ戦いを止められず、変化をなしていなかった。
刹那はジンクス部隊に背を向け、ボロビルを後にする。彼にはこれから確認すべきことがあるのだ。
どうやら、この街にはガンダムを目撃したジャーナリストがいるらしい。とある情報筋から入手した話だ。
ーーガンダムは滅んだ。それでも、再びガンダムがこの世界に現れたとしたら……。
世界ではすでに、ソレスタルビーイングは国連軍によって倒されたことになっている。今、ガンダムが世に現れることで多くの人間から拒絶反応が生まれる可能性が高い。
最悪、刹那自身の危険度を上げることになるかもしれないのだ。
ーーそのジャーナリストの動向を追う。場合によっては……。
抹殺、という言葉が刹那の脳裏をちらつく。こういうものは優しさで見逃してはいけない。
情報屋によると、そのジャーナリストは今、街のあちこちでガンダムが写っているらしき写真を買ってくれる相
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