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ソードアート・オンライン  〜生きる少年〜
第一章   護れなかった少年
第三十四話 Diablo
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かなり高く、見上げる形になった。当然、フードの中身が見えてしまう。
 そこにあったのは、どこまでも冷ややかな目だった。
 
 刹那、Pohの腕が一瞬の内に首を掴み、そのまま背後の壁に押しつけられた。

「カハッ!?」

 壁にぶつかり、肺の中の空気が出て行く。息を吸おうにも、Pohの指が的確に気道を押さえており、息が吸えない。

「か......ひゅ......」

 息が吸えない俺の前で、Pohはもう片手で少しだけ、フードをめくり、僕と眼を合わせる。

「hey,『笑う棺桶』に入る、と言ったな」
 
 首を動かすことすら出来ず、目線で頷くと、ギュっと首を掴んでいる手に力が入る。さっきまでがHPの減らないギリギリのラインだったのか、今度は緩やかに、しかし確実にHPゲージが減っていく。

 どういうつもりなんだ、と眼を見ると、その眼は、冷静で飄々としていた彼とは違うような激情で染まっていた。

「『笑う棺桶』、舐めンじゃねぇぞクソJapが。テメエみたいな雑魚、誰が入れるか」

 そこで、首を掴んでいた力がフッと弱まる。HPゲージは下降を止め、ゲージの端に少し残るだけとなった。

「いいかjap.勘違いしてるようだから教えてやる。俺たちの目的はテメエの勧誘じゃねえ」

 相変わらず旨く出来ない呼吸が完全に出来なくなった。
 どういうことだ。
 頭が完全にフリーズする。

「ソラ、俺はこれでもお前に期待してたんだぜ? だから、お前の言う交渉、という言葉に応じた。俺でも考えていない何かを聞ける可能性がある、そう考えたからだ。なのに、結果はこれだ。結局、お前はあの頃とは違う、つまらねえ奴になっちまった」

 Pohはそこで一度、言葉を止める。

「いいか。お前の選択肢は二つだ! 片方を生かすか、それとも両方殺すかだ。他の選択肢なんて無い。わかったら今すぐ選べ、二人とも殺すか、一人は生かすか!!」

 Pohは俺と目線を合わせ、その眼で問い詰めてくる。

「さぁ、どっちだ。両方殺すか、片方は生かすか」

 僕は、頷くことしか出来なかった。 

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