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空に星が輝く様に
222部分:第十六話 深まっていく疑惑その八
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第十六話 深まっていく疑惑その八

「私がいない時は」
「その時はか」
「つきぴー居合やってるけれど戦えないから」
「気が優しいからな」
「それに弱いから」
 気が、というのである。
「だから。私がいないその時には」
「ああ、わかってるさ」
 陽太郎はむべもなく答えた。
「俺がだな」
「そう」
 まさにその通りだった。
「斉宮が御願い」
「俺が月美を守る」
「これまでは私だけが守っていたけれど」
「それだけじゃなくてか」
「守ってくれる人が多い」
 椎名はふとこんな言葉も出してきた。
「そうしてくれる人が多ければ多いだけ」
「多いだけ?」
「その人は幸せ」
「幸せなのか」
「人はどうでもいい相手は守らない」
「そうだよな」
 陽太郎は今の椎名の言葉に頷いた。聞けばまさにその通りだった。
「誰だってな。大切な相手だから」
「守るから」
「沢山の人にそう思われてるならか」
「そう、それだけ幸せ」
 椎名が今言うのはこのことだった。
「そして。つきぴーは幸せになって欲しいから」
「俺も守るのか」
「守りたくないならそれでいい」
 椎名は今度は一旦引き離した言葉を出してきた。
「けれど。つきぴーを大切に思っているのなら」
「わかってるさ。守るよ」
 確かな顔と声での返答だった。
「俺、絶対にさ」
「そうしてくれたら嬉しい」
 ふと顔を綻ばせた椎名だった。
「御願いね」
「何度も言うけれどわかってるさ」
 これが陽太郎の今の言葉であり考えだ。
「俺が一番に」
「一番になのね」
「月美を守るよ」
 言葉も表情もさらに確かなものになっていた。
「何があってもな」
「そうしてくれると嬉しい。じゃあ」
「ああ、運動会に文化祭だよな」
「まずは運動会」
 順番はしっかりと頭の中に入っていた。
「それから」
「よし、じゃあそれでだよ」
 陽太郎は笑顔で頷いた。彼等もまたその運動会に考えを巡らそうとしていた。大会に向けて皆着々とその準備を進めていた。
 その中でだ。陽太郎はまた部活の後の下校で月美と一緒になっていた。そしてその場で彼女に対してその運動会のことを話していた。
「高校の運動会ってな」
「どうかしたんですか?」
「いや、行進の練習とかそういうのしないんだな」
 こう月美に話すのだった。
「そういうのは」
「そうですね。組み立て体操とかの練習も」
「全然ないよな」
「ありませんね」
 このことを二人で話すのだった。
「創作ダンスも」
「女の子はそれだったよな」
「男の子が組み立て体操で女の子は創作ダンスですよね」 
 運動会の出し物の定番である。
「けれどその練習は」
「ないんだな」
「それどころかそれ自体ありませんよね」

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