親子の絆・絶望の世界
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「まだ・・・諦めてないからな!!」
向けられた剣に突進するエルザ。それは彼女の腕を、体を突き抜けるが、エルザの頭部がアイリーンを襲った。
ズザァン
倒れるエルザ。しかし、アイリーンは何とか持ちこたえていた。
「まだ・・・詰めが甘いわね」
(剣が・・・消え・・・)
エルザの体に突き刺さっていた剣が消えたかと思うと、それはアイリーンの手に握り締められている。
「エルザさん!!」
今度こそどうすることもできないのかと、ウェンディが叫んだ。アイリーンも身動きを取る余力など微塵もないエルザに、剣を構え振り下ろそうとする。
「これで・・・終わりよ!!」
今度こそ決着が着くかと思われた。エルザとウェンディは思わず目を閉じる。しかし、アイリーンはカタカタと震えると、なかなか剣を振り下ろせないでいる。
「・・・できない・・・」
「「え・・・」
ボソッと呟いた彼女はその剣を落とした。その目には大量の涙が溜まっており、彼女は地面に膝をつくと、そのまま泣き出してしまう。
「私に・・・あなたを殺すことはできない・・・」
「・・・」
突然のその言葉に呆けているエルザ。彼女は痛む体にムチを打ち、言葉を発する。
「なんで・・・」
「あなたの笑う顔を見た時、思い出してしまったのよ・・・」
エルザに自らの人格を付加しようとしたアイリーン。だが、彼女はそれができなかったといったが、それは真実でない。
本当はしなかったのだ。生まれたばかりのエルザの笑う顔を見た彼女は、その可愛さと愛らしさに負け、付加をやめた。
ただ、彼女がそばにいてはその決心が揺らいでしまう。そう思った彼女はお腹を痛めて生んだ彼女を置き去りにし、イシュガルの地を後にした。
「こんなことを言っても、信じてもらえないでしょうけど・・・」
血まみれのエルザに近付いた彼女は、その体をそっと引き寄せる。
「愛していたのよ、あなたのことを」
抱き締められたエルザは、彼女の温かさからその言葉にウソ偽りがないことを感じ取った。その安心感からか、エルザは同様に彼女を抱き返す。
「母さん・・・」
ついにわかり合えた親子の愛に見ていたウェンディも笑顔になってしまう。これでハッピーエンドになるかと思われた。しかし、それを許すことができない男が、一人いる。
「子は親を愛し、親は子を愛するものなのか」
「「「!!」」」
近付いてくる足音に全員が振り向いた。彼女たちに迫ってきているのは、いまだ無傷の魔導王。
「オーガスト・・・」
「こいつが・・・」
「すごい・・・なんて魔力なの・・・」
アイリーンの魔力も十分に高い。しかし、目の前にいるその老人は彼女
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