親子の絆・絶望の世界
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・・・」
彼女が何を言いたいのか、すぐにわかった。シリルはこれから、何らかの理由でリバイブシステムの生け贄にされることを。
「でも、残念だったな。それでやる気を無くすほど俺は脆くないぞ?」
自分がこれから生け贄にされるのであれば、それを阻止するために戦えばいい。むしろ自分が勝っていればティオスの存在は矛盾するものとなり、大魔闘演武の時のドラゴンたちのように消えてなくなるかもしれない。そんな希望が見えていた。
「それはあなたが誰の器になるか知らないからでしょ?」
だが、次の一言がシリルの心を深く抉ることになる。
「あのリバイブシステムを使った未来のローグは、アクノロギアを倒すための唯一にして絶対の魔導士を選んだ」
「未来の・・・ローグさん?」
大魔闘演武でヒスイ姫を騙してドラゴンを400年前から呼び寄せた未来のローグ。彼がティオスを生み出したというだけでも驚愕の代物だった。だが、その次に明かされる真実は、あまりにも無情。
「この戦争で早々に命を落とした氷の神・レオン・バスティアをね!!」
「・・・え?」
その名前を聞いた瞬間、彼の思考は完全に停止した。その言葉がどれだけの大きな衝撃を与えたのかは、ヨザイネからすれば想像に難くない。
「ウソ付くな!!ティオスがレオンだったら、俺らの敵になるはずないだろ!!」
動揺していたものの、すぐにそんな考えが纏まるところは流石だった。それだけ彼は友を信じていた。
「そうね。確かに普通のレオンだったらあなたたちの仲間になることを選んだわね。でも残念!!」
両手を広げて高笑いしてみせるヨザイネ。その姿はあまりにも自信満々で、他の意見など聞く気はないといった印象を与えた。
「あなたたちは彼を失望させた。その結果が今の彼よ」
呆然と立ち尽くし、身動きが取れないシリルとセシリー。最強の敵の真実に、平常心を保つことなどできるはずがなかった。
「あああああああああ!!」
緋色の剣士の剣に悲鳴を上げるドラゴン。その正体はアイリーンであり、ダメージを受けた彼女は本来の姿へと戻っていく。
「手こずらせやがって・・・小娘がぁ・・・」
両者血まみれの満身創痍な姿。そんな中気力で優位に立ったのは、母であるアイリーン。
「それで終わりよ、もう諦めなさい」
エルザの剣を手に取りそれを向けるアイリーン。勝敗は決したかに思えた。だが、絶体絶命のはずのエルザは、なぜか笑っている。
「笑うなぁぁぁぁ!!」
その瞬間、アイリーンの脳内にある記憶が蘇ってきた。しかし、それを振り払おうと懸命に声を張り上げる。
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