親子の絆・絶望の世界
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影に全身が包まれている竜と目の色が反転している悪魔。そこに流れる雰囲気は険悪以外の何物でもない。
「ローグくん!!グレイくんも落ち着いて!!」
亡骸と化しているスティングのそばにいるレクターが懸命に声を張り上げるがそれは二人に届かない。
「「・・・」」
しばしの沈黙。それを先に破ったのは自身の影と一体化した竜。彼はこれまでとは比べ物にならない速度で影になり、グレイへと接近する。
「ハァッ!!」
影から手を出しグレイの顔を掴もうとする。しかし、それは間一髪で回避されてしまった。
「フンッ」
続いて攻撃を仕掛けるのは悪魔を滅する魔を所有する青年。彼は氷の剣を二本作り出すと、それを軽々と振るいローグを攻め立てる。
「二人とも!!やめてください!!やめて!!」
こんなことをしている余裕などどこにもないことはローグもグレイもわかっていた。しかし、暗黒面に落ちた二人はもう止まることができない。
ろくに言葉を発することなくぶつかり合う二人の魔力。その場に響くのは泣き叫ぶレクターの声だけとなっていた。
風の音だけが周囲に響き渡る戦場。そこで睨み合う少年と少女を見比べていたセシリーは首を傾げた。
(似てる〜?でも、どこが・・・)
二人のことを似ていると直感で感じたセシリー。しかし、彼女は二人のどこが似ているのかよくわからなかった。
「水竜の・・・」
地面を蹴り高々とジャンプするシリル。彼は両手を握り合わせ、敵の頭部に狙いを定める。
「顎!!」
重力も味方にして一撃を放つ。それに対しヨザイネは純白の翼で身を守る。
「やっぱりまだまだね」
「っ!!」
柔らかそうな翼なのに、それを貫通させることはシリルにはできなかった。悔しそうに奥歯を噛む彼に対し、ヨザイネは右手を振るう。
「天界から降り頻る神の怒りよ、かの少年を焼き尽くせ!!」
その言葉と共に晴れ渡っていた空に黒雲が立ち込める。そこから目にも止まらぬ速度で放たれた雷は、水色の髪をした少年目掛けて降り注いだ。
「くっ!!」
電光石火の一撃に辛うじて回避したシリル。彼のそれまでいた足場は雷で砕け飛び、受けていれば間違いなく命に関わっていたことを物語る。
「よく避けれたわね。じゃあ・・・」
ホッとひと安心していたシリルに向けて今度は左腕を振るう。それにより彼の周りに逃げ道を塞ぐように炎の壁が出来上がる。
「神の与えた万死の力よ、この世の全てを消し去れ!!」
次第に高くなっていく炎の壁。さらには範囲もどんどん広がっていき、中心にいた少年を飲み込もうとしていた。
「さぁ、黒こげになりなさい」
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