第53話
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見える。数は三百といった所だろうか。
無傷なところを見るに、礫石の射程から外れたようだ。
問題ない。すでに次弾礫石の装填を開始している。確実に仕留める為に引き付けたのだ、後は逃げる背に撃って終わりだろう。
そして、次戦こそが自分たちにとって本番だ。陽軍五十万、大炎を欠いたとて脅威に変わりない。
無論、策は打ってある。
「――ッ やってくれたな曹操、郭嘉」
袁紹の周りの空間が歪む。それほどの怒気。
魏軍に対してではない、策を看破出来なかった軍師達に対してでもない、己だ。
まんまと乗せられ、大炎の犠牲を出した自分自身に対する憎悪にも近い怒り。
余りの変わり様に、近くの兵たちが数歩後ずさる。
「麗覇様、申し訳――」
「後だ」
佳花を筆頭にした軍師陣の謝罪を遮る。
これ以上、間違える訳にはいかない。己に憎悪いるのも、反省をするのも後でいい。
事態は刻一刻と変化している。ここで手を打たなければ後手に回ってしまう。
士気も最悪だ。何とか別動隊を大きく迂回させ投石機を――
「袁紹様! 大炎に無事な者たちが!?」
「撤退の銅鑼を鳴らせぇッ!」
隊の先頭として突出していたことで、かろうじて投石を免れたようだ。
その者たちの中に、恋や音々音、華雄の姿が確認できる。陽軍の士気に僅かな光明が差した。
しかし次の瞬間、生き残った大炎は予想外の行動に出た。
「た、大炎が寡兵で魏軍に突撃を――!?」
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