第十三章 神は降臨するのか
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張り上げた。
「もうやめましょうよ、疑心暗鬼になったら負けです。この中にはそんなことする人は絶対にいません」
敦子が定夫と八王子の間で、踏切遮断棒のように右手を上げたり下げたり。仕草の意味は不明だ。
「すまん八王子。酷いこといってしまった」
定夫は、オカッパ頭をガリガリ。ばらばら粒塩のように大きなフケが落ちた。
「いや、分かればいいんだ。そもそも、ぼくは中二の途中で引っ越してきたんだし、四年前の敦子殿の写真なんか手に入るわけないでしょ。中学校だって違うんだし。……とはいえ、アルバムをその筋の業者に売るような人もいるくらいだから、その気になれば写真の入手は可能なんだろうけど。でも、あまりに早いよね」
「早い、というと?」
トゲリンがネチョネチョ声で尋ねる。
「犯人が、掲示板でレンドルとやり合ってムカっときて、それから調べて写真を入手したにしては、ちょっと早いよね、ってこと」
「確かにそうでござるな。つまり、とっくに調べられていたということナリか」
「ごちゃんでのやりとりだと、あいつは、まだおれたちのことを知らなかったよな。調べれば分かるんだとか凄んでたから。つまり、誰かが既におれたちのこと調べていて、そこから教えてもらったり、写真を入手したんだろうな」
「えー、それ動機が分からないですよ。誰かが既に調べて、って、その調べる動機が」
「ぼくらの作ったオリジナルが、ネットアニメとしてまず話題になって、それで、テレビアニメ化の話がきたわけじゃない? その話題になっていた時に、『原作、誰が作ってんのかな』と興味を持ったやつがいた、ということじゃないかな」
「なるほど。でもなあ、素人が根性でアニメを一本作っただけだぞ。それをそこまで調べようとするかな」
「推測だけど、まずそいつは敦子殿に興味を持ったのかもね。女性キャラ全員の声、そしてエンディングも担当している。そこにハアハアしてしまい、調べ上げたんだ」
「ハアハアって……」
なんとも情けない敦子の顔。
八王子は続ける。
「もしくは、テレビアニメ後かも。あのエンディング曲はテレビでも使われて大ヒットしただろう? でもアニメキャラならいざ知らず、歌を気に入っただけでそこまで入れ込んで調べようというのも妙な話。だから、その歌へのちょっとした興味が、オリジナル版への興味へ、そしてオリジナル声優への興味ということで、敦子殿に繋がった、と」
「なんでことごとく、あたしなんですかあ?」
怖さと情けなさの混じったような、複雑な表情の敦子であった。
「だから、メインキャラの声と歌をやっているからだよ」
「でも実際に襲われたのは、レンさんじゃないですか」
「いや、それはそれ、これはこれだよ。きっかけは、敦子殿。それにより、我々のことを調べ
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