第十三章 神は降臨するのか
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に脅されて警察沙汰になったことについてである。
事件当日の夜はメールで、翌日からは朝から晩まで、今日も朝から今の今まで、口を開けばずっと罵詈雑言をぶちまけ続けている。
犯人に対して、そして警察の対応に対して、ぺらぺらぺらぺら、身に遭遇したことを語っては、ナメンナコノヤロウと拳を振り上げている。
語る内容の、半分は嘘であったが。
刃物に負けずやり返し押し問答になっているところ、警察がきたから見逃してやった、とか。
ブリーフ丸出して屁をこいたことなども、相手のことにしてしまったし。
事実は、定夫が刃物で脅されて、はひいはひいしか声が出ず、ブリーフ姿で土下座して、尻をくいと上げた瞬間に屁が漏れた。
偶然パトカーが通り掛かったことで男は逃げ、おかげで命が助かったものの、警官にはアニオタのしょーもない争いと思われ、挙句の果てには事件の捏造を疑われ。
定夫にも五分だか五厘だかの魂というものがあり、そんなみっともないことを正直に白状出来るわけもなく、ごまかし続けるしかなかったのである。
犯人への憤りなどは本物であり、味わった恐怖の分だけ強がってしまっているのである。無意識に殺人拳蜘蛛の糸を壁に叩き込んでしまうくらい。
ネットを見る限りでは、特にニュースにはなっていないようで、ほっとしたような、はたまた腹立たしいような、複雑な思いの定夫である。
ニュースもなにも、そもそも事件として扱われていないのかも知れないが、それもそれで悔しい。犯人が裁かれないどころか、警察がまともに取り合っていないというだから。
こっちはナイフだかなんだか脅され、危うく殺されるところだったというのに。ちっとも市民の役に立ってねーじゃねえかクソ警察。仕事しろや!
「でも、どうやってレンさんのことが分かったんですかねえ」
敦子が首を傾げる。
さも始めて口にした疑問のような態度だが、実はもう十回目だ。
「ネットの書き込みから、色々と分かることがあるんだよ。名前、地域の情報とか、ハンドル名なんかから他の掲示板が分かったり。IPアドレスの一部、または全部が晒されているような掲示板もあるし。そういう情報からあたりをつけて、絞り込んでいくんだ。個人でやるとは限らない。見ず知らずの物凄い数の他人同士が協力してあっという間に調べ上げてしまう、ってこともある」
定夫のパソコンでウェブサイト閲覧をしていた八王子が、マウス握る手を休めて親切に説明してあげた。
「うーん。なるほどですねえ」
よく分かっていないこと表情から明白であるが、敦子はとりあえずうんうん頷いた。
「でもそんな情報くらいで個人の特定が出来ちゃうなんて。怖いよー」
「怖くないっ! あのパーカー野郎、ムチャクチャ弱そうだったか
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