218部分:第十六話 深まっていく疑惑その四
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第十六話 深まっていく疑惑その四
「言わないと何もしないんだし」
「それならね」
「もう背中蹴っ飛ばしてでも」
「そのつもりでやらせるわよ」
星華はその細い眉を怒らせて述べた。腕も自然に組んでいる。
「絶対にね」
「そうしよう。まあ運動会は無視してね」
「出ても出なくてもね」
「そうしてやりましょう」
「そうね。あとは応援だけれど」
運動会と言えば応援は外せない。それの話もするのだった。
「どうしようかしらね」
「チアガール?」
「それか学ラン?」
どちらかだというのだ。
「女がチアガールで男は学ラン?」
「そうなるのかな、やっぱり」
「男のチアガールはNGとして」
それはだというのだった。
「けれど女の学ランはいいかもね」
「男装の麗人ってやつ?」
「宝塚みたいなのね」
こんな話にもなった。
「かなりいいかも」
「考えてみましょう」
こんな話をして盛り上がっていた。その間月美はずっと椎名の話を聞いていた。彼女もまた運動会のことを話していたのだった。
「それでね」
「うん」
「応援だけれど」
「それどうしようかしら」
「派手にいかないと駄目」
引っ込み思案になりがちな月美への発破でもあった。
「派手にね」
「派手になの」
「そう、派手に」
こう話すのだった。
「そうしないと駄目」
「具体的にはどうしようかしら」
「爆竹とか花火とか」
まずは鳴り物であった。
「そういうのも使って」
「音を出すの」
「それと光。この応援は絶対に目立つから」
「爆竹なのね」
「花火は鼠花火」
話に出すものはかなり過激であると言えた。少なくとも大人しいものではない。椎名はそうした意味で明らかに狙っているのだった。
「そうしたもので音を鳴らして」
「そうすればいいのね」
「それとだけれど」
月美にさらに話すのだった。
「応援の衣装は」
「どうすればいいの?」
「まずはチアガール」
最初はそれだった。チアガールだった。
「それと学生服」
「それもなの」
「どっちもあるし」
椎名の口調は素っ気無いが事実を述べていた。
「だから丁度いい」
「学生服は普通にあるわよね」
「応援団にもあるし学校の制服にもある」
椎名は月美にこのことを話す。
「長ランが普通に」
「長ランっていったら」
「斉宮も着ているあれ」
「そうよね。あれよね」
椎名のその言葉に素直に頷く形となっていた。ごく自然にだ。
「あの制服よね」
「あれを着ればいい」
椎名はまた言った。
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