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タールート王
第一章
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 ダーウードは国の政においてその聡明さと学識を使ってそうしてだった。ユダヤを一層栄えさせた。だがその様子を玉座で見てだ。
 タールートは自分の妻である王妃に二人だけになった時に囁いた。
「皆ダーウードを見ているな」
「はい、あまりにも見事なので」
「そうだな、しかしだ」
「しかし?」
「私についてはどうだ」
 怪訝な顔になってそのうえで自分に問うた。
「王である私のことは」
「貴方のことは」
「そうだ、私は王なのだぞ」
 つまりユダヤの主だというのだ。
「その私を忘れていないか」
「ユダヤの民達は」
「そうなのではないのか」
 こう言うのだった。
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