第三章
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「あーしと付き合えたらソッコーでやれるとか思ってる?」
「えっ、何をかな」
「何をかはあんたが一番わかってるでしょ」
口調も冷めたものであった。
「それは」
「いや、それは」
「言っておくけれどそれ甘いから」
晋太郎を指差して言い返した、右手の人差し指で。
「付き合ってソッコーでやれるってのは」
「だ、だからそれは」
「隠さなくてもいいから、あーしにコクるって」
それはというのだ。
「すぐにやれるって思ってでしょ」
「・・・・・・・・・」
晋太郎は遂に黙ってしまった、事実なのでそれを否定しきれなくなったのだ。それで返答に窮して黙ってしまったのだ。
その晋太郎にだ、友紀はさらに言った。
「それ違うから」
「違うって」
「あーし経験ないから」
「えっ!?」
「嘘って思った?」
「いや、それは」
「顔に書いてるから」
晋太郎のびっくりした顔を実際に見ながらの言葉だ。
「あーしが遊びまくってヤリまくってると思ってるって」
「それは何ていうか」
「皆そういう目で見てて思ってるのわかってるから」
友紀自身もだ、このことは本当によくわかっていた。
「あーしのことね、けれど違うから」
「違うっていうと」
「だからあーし遊んでないから」
このことを言うのだった。
「そういうことしたことないから」
「したことないんだ」
「誰とも付き合ったことないし」
「嘘、そうだったんだ」
「嘘言ってないから」
このことを断りもした。
「キスどころか手をつないだこともまだだし」
「そ、そうだったんだ」
「意外?」
「意外も何も」
完全に友紀のペースになっていた、晋太郎が気付かないうちに。それで晋太郎は思わずこう言ってしまった。
「まさか」
「そのまさかだから、あたしキスも手もつないだことないし」
誰かと、というのだ。
「付き合ったこともコクられたこともなかったから」
「告白もなんだ」
「そう、今がはじめてだから」
晋太郎が今しているそれがというのだ。
「マジで」
「そうだったんだ」
「そう、それでね」
「それで?」
「決めてたの、もしあーしにコクる人がいたら」
友紀は完全に主導権を握っていることは自覚しないまま流れのままに晋太郎に対して話した。二人しかいない体育館裏で。
「付き合おうって」
「それじゃあ」
「そう、いいよ」
ここで笑顔で言う友紀だった。
「あーしと付き合いたいのは事実よね」
「う、うん」
一も二もないといった口調でだ、晋太郎は答えた。
「だからここに来てもらったし」
「下駄箱に手紙入れて」
「そうしたし」
「そうよね、あーしだってお話聞くつもりでここ来たし」
「それじゃあ」
「そう、付き合おう」
ここでだ、友紀
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