第四章
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そうして一週間待っていると遂にだった。
その夜にだ、二人の近くにだ。
そのフクロオオカミらしき生きものイヌ科を思わせるものが出て来た、身体は大型の犬位である。だが。
夜なので縦縞は見えない、それで見張りをしていたヘンリーは。
テントの中に入って今は寝ていたマリーを起こして言った。
「出て来たよ」
「遂に?」
「ああ、遂にだよ」
マリーにその通りだと答えた。
「フクロオオカミが出て来たよ」
「そうなのね」
「だからね」
「ええ、起きるわ」
マリーはすぐに寝袋から来た、寝ている時もすぐに動ける様にヘンリーと同じ種類の迷彩服を着ている。
そこから出てすぐにブーツを履いてテントの外に出てヘンリーが指差したその方向を見るとだった。
そこに確かにいてだ、マリーも言った。
「本当にね」
「いるね」
「ええ、撮影はした?」
「今からするよ」
ヘンリーは撮影しつつマリーに答えた。
「夜間用カメラでね」
「もう何枚も撮影したわね」
「動画もあの場所も撮影してるし」
「それならね」
「うん、もうね」
それこそとだ、ヘンリーはマリーに話した。
「万端だよ」
「整ってるわね」
「後はね」
さらに言うヘンリーだった。
「捕獲しようか」
「出来るかしら」
「うん、麻酔銃があるけれど」
この用意も出来ているというのだ。
「捕獲しようか」
「そうね、ただね」
「ただ?」
「夜間用のスコープは大丈夫?」
マリーが今言うのはこのことだった。
「そちらは」
「大丈夫だよ、それじゃあね」
ヘンリーはそちらも出してだ、いよいよフクロオオカミを捕獲しようとした。だがその前にだった。
ヘンリーが銃を構えたその時にはフクロオオカミは危険を察したのかその場所からいなくなっていた。そしてだった。
夜の闇の中に消えていた、それでヘンリーも眉を曇らせて言った。
「残念だけれどね」
「いなくなったわね」
「うん、これはね」
「捕獲出来ないわね」
「それは諦めるしかなくなったよ」
マリーに残念そうに話した。
「本当にね」
「そうね、けれどね」
「写真と動画は撮れたんだ」
「それならね」
「うん、後は写真と動画を検証して」
そうしてというのだ。
「論文も書こう」
「わかったわ、じゃあね」
マリーも頷いた、そうしてだった。
ぎりぎりまでテントを張って待っていたがフクロオオカミは二度と現れずそれで二人はメルボルンに戻った。
そこで写真や動画を検証し論文も共同で書いてだ。
公に学界に発表した、これでだった。
フクロオオカミが今もそしてオーストラリア本土にいることがわかった。このことはオーストラリアどころか世界中で話題になった。
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