第二章
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「大変だよ」
「けれどこうしてやってってな」
「米や野菜が採れるだよ」
「これがいいんだよ」
「おら達百姓はな」
「おらも採れるか」
太作はこのことが不安で仕方なくこうも言った。
「果たして」
「ああ、太作どん筋いいぞ」
「鍬や鋤の使い方だってな」
「牛の世話も上手だしな」
「しっかり働いてるぞ」
「だといいけどな、はじめたばかりでな」
村人達の言葉に元気になりつつもだ、こうも言った太作だった。
「米や芋が採れるか」
「採れる採れる」
「太作どんの田畑なら安心しろ」
「あれなら十分だ」
「肥だってしっかりやってるしな」
「虫も取ってるだろ」
「虫な、多いな」
太作は村人達が虫と言うとすぐに言った。
「稲にも芋にもな」
「そうだろ、虫には注意しないとな」
「薬もやらないとな」
「さもないと稲も野菜もどんどん食われるからな」
「注意しろよ」
「あれな、芋の歯につくテントウムシな」
太作はその虫の話をさらにした。
「普通のテントウムシと違うな」
「あの丸、星の数が多いやつだろ」
「橙色の」
「あのテントウムシには気をつけなよ」
村人達は太作に話した。
「あいつは性質悪いからな」
「普通のテントウムシに化けているからな」
「普通のテントウムシはいいんだよ」
「可愛いし悪い虫を食ってくれるからな」
「けれどあのテントウムシは違う」
「芋の葉とか食うからな」
「注意して取れよ」
「そうするな」
太作も彼等の言葉に頷いてそのテントウムシには注意した、その他にも悪い虫には注意していた。そうしてだった。
田畑の世話をしていった、その中でだった。
秋が近付くと村人達に今度はこう言われた。
「刈り入れだぜ、もう少ししたら」
「いよいよその季節だ」
「今年は豊作だからな」
「凄い刈れるぞ」
「米の収穫が楽しみだな」
「そうだな、おらこれまでな」
猟師だった時に見たものを話した、次第に黄金色になっていっている稲を見ながら。
「稲の収穫はな」
「見ていてもか」
「それでもか」
「こうしたことはわからなかったか」
「実感なかったんだな」
「猟師とは本当に違うな」
百姓、この仕事はというのだ。
「まさに」
「ああ、しかしな」
「これが百姓ってことでな」
「わかってくれよ」
「耕して植えてな」
「そして育てて虫にも注意して」
そうしていってというのだ。
「刈り入れてな」
「食える様にする」
「そうしたものなんだよ」
「そうなんだな、じゃあ秋が来たら」
その時はと言う太作だった。
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