215部分:第十六話 深まっていく疑惑その一
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第十六話 深まっていく疑惑その一
第十六話 深まっていく疑惑
星華は家でだ。妹の星子と話をしていた。苺を食べながら。
「ねえ」
「どうしたのよ、今日は」
「聞きたいことがあるんだけれど」
居間のちゃぶ台を囲んで苺を食べながらの言葉だ。
「いいかしら」
「聞きたいことって?」
「あんただったらどうするかな」
妹の顔を見ながら言う。その豊かな胸は今は見てはいない。
「好きな相手に好きな人がいるかも知れなかったら」
「先輩のこと?」
「ち、違うわよ」
図星を言われて顔を赤らめさせてしまった。
「別に」
「言わなくてもわかるから」
しかし星子は少し呆れた顔で姉に言葉を返した。
「っていうかもうわかってるから」
「もうなの」
「そうよ。態度とか言葉でわかるから」
その二つでだというのだ。
「そうしたことはね」
「何時の間にわかったのよ」
「ずっと前から。だってお姉先輩の話ばかりするし」
もうその時点でだというのだ。迂闊といえば迂闊な星華である。
「それでわからないっていうのもねえ」
「ないっていうの?」
「はっきり言ってないわね」
妹は明るい顔で苺を右手に取って自分の口の中に入れながら姉に返す。
「モロバレだから」
「うう・・・・・・」
「それで何?」
ここまで話してあらためて姉に問う。
「先輩に彼女がいるとか?」
「それはその」
「それなら早くアタックすればいいじゃない」
星子はぶしつけにこう言ってみせた。
「いても奪い取る位の気迫でね」
「奪い取るって」
「彼女いるかどうか不安なんでしょ」
星子は今の話の核心を指摘してみせた。
「先輩に。そうなんでしょ?」
「それはそうだけれど」
「それでいるかいないか不安ならよ」
「アタックしろってこと?」
「告白すればいいじゃない。それならすぐにわかるわよ」
「何でそれでわかるのよ」
星華もまた苺を手に取る。そのうえで妹に問うた。
「告白でわかるのよ」
「決まってるじゃない。いたら振られるからよ」
「いたらなの」
「先輩真面目だからいたら断るから」
星子も陽太郎とは面識がある。だからその性格もよくわかっているのだ。それでそのうえで姉に対してこう言ってみせたのである。
「だからよ」
「いたら終わりじゃない」
「振られるからね」
「それに告白しても」
星華は苺を食べながら引っ込み思案になっていた。
「結局は」
「断られるかもっていうの?」
「そうならない?」
不安に満ちた目で妹に問う。苺を食べていてもその味は今一つに感じた、。
「どうなるかわからないから」
「そんなこと言って何年経つのよ」
少し呆れた口調で姉に言った。
「もう何年
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