第一章
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イクナートン
この時エジプトの誰もが仰天し混乱していた。
「ファラオは何を考えておられる」
「わからぬ」
「いきなり全ての神を信じるなと言われた」
「そして新しい都を築かれると言われた」
「一体何だ」
「何をお考えなのだ」
神官達も軍人達もひいては噂を聞いた民達もファラオの行いに驚いていた、そしてその発言と行動に面喰らっていた。
だがファラオであるアメンホテプ世は四その面長の顔で言うのだった、ファラオらしく髪の毛や髭は剃っており鬘を被り整った服を着ている。
その彼がファラオの玉座から言うのだった。
「余は言ったな」
「はい、これまでの神を信じるな」
「その様にせよと」
「確かに言われました」
「全ての神を」
「そうだ、どの神も信じてはならん」
あくまでこう言うのだった。
「よいな、そしてだ」
「都もですか」
「新たに築かれる」
「そうされますか」
「そうだ、その名はアケトアテンとする」
既に都の名も決めていた。
「その様にするのだ、いいな」
「はい、では」
「その様にします」
「ファラオの言われる通りに」
神の子と言われるファラオの力は強い、だからそれぞれの神を崇め神のことだけでなく政のことでもファラオを助け国をかなりの部分で動かしている神官達もある程度以上に頷くしかなかった。だがそれでもだ。
ファラオの突然のこれまで誰もがしなかった政に唖然となりどう言っていいかわからなかった、それでだった。
諫めようにも言葉がなく何と言っていいのかわからなかった、しかしファラオはその彼等に気遣いなぞ全く見せずさらに言った。
「そしてだ」
「そして?」
「そしてといいますと」
「信じる神は一柱のみとする」
こうも言うのだった。
「これからはな」
「信じる神は一柱ですか」
「それだけですか」
「このエジプトにおいて」
「そうだ、他の神を信じてはならん」
一切というのだ。
「よいな」
「はい、ではです」
「その神はどの神でしょうか」
「ラーでしょうか」
「イシスでしょうか」
「それともホルスでしょうか」
王の前にいる神官達は多くの信仰を集めている神々の名を出した、だが。
ファラオはその彼等にだ、この神の名を出した。
「アトン=ラーだ」
「アトン=ラー?」
「といいますと」
「ラーでしょうか」
「かつての主神ですが」
古い神であり権威を失墜させてしまいホルスが今は太陽神とされている、神官達はファラオはこの神を復活させようというのかと考えた。
だがファラオはその彼等にこう答えた。
「ラーではない」
「違うのですか」
「そうだ、全く以ての新しい神だ」
堂々とした言葉であった、ファラオに相応しく。
「
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