213部分:第十五話 抱いた疑惑その十七
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第十五話 抱いた疑惑その十七
「中学時代のメンバーでね」
「いや、そこにさ」
しかしだった。陽太郎はここでさらに言うのだった。
「高校時代のメンバーも入れてさ」
「高校のって!?」
「だから今のさ」
こう星華に話すのであった。
「今のメンバーもさ」
「今のって」
「あれだろ?佐藤だって今のクラスに友達いるだろ」
「ええ、まあ」
州脇や野上達だ。いないと言えば嘘になることだった。
「それはそうだけれど」
「それだったらさ。そうした面々も入れてさ」
「中学も高校も一緒に、なの」
「騒ぐんだったら人数が多い方がいいだろ?」
「そうね。それはね」
ここでは陽太郎と星華の考えは一致していた。しかし星華はここで。思わずこんなことを言ってしまった。やはり無意識のうちでの言葉だった。
「その通りだけれど」
「じゃあそれでいいよな」
「けれどね」
「けれど?」
「二人で騒ぐのもいいんじゃないかしら」
これがその無意識のうちの言葉だ。彼女は陽太郎の顔を見上げてだ。そうしてそのうえでこの言葉を出してしまっていたのである。
「それも」
「二人でか」
「そう、二人でね」
また言うのだった。
「騒ぐのもね」
「二人かあ。それって」
「カップルっていうか」
無意識のうちの言葉は続く。
「恋人同士でね」
「ああ、それいいな」
陽太郎は意識していた。しかしその相手は星華ではなかった。
「それもな」
「そうよね。二人でね」
「じゃあ今度そうしようかな」
「えっ!?」
星華は今の陽太郎の言葉を聞き逃さなかった。そして問い返してしまった。
「今何て?」
「だから二人でさ」
自覚のないまま答えた陽太郎だった。
「それもいいよな」
「誰となの?」
危惧する顔で問うた言葉だった。
「それって」
「えっ、誰って?」
「だから誰となの!?」
表情は強張ってもいた。そのうえでまた問うたのである。
「二人で騒ぐって」
「いや、普通に狭山とだけれどさ」
「狭山って?」
「知らないか?うちのクラスの狭山水樹」
彼の名前を出したことには自覚がなかった。ついでに言えば恋人同士という言葉も打ち消してしまっている。しかしこうしたことには疎い陽太郎には気付かないことだった。そしてそれはここでは非常に幸いなことであった。
「あいつとかとさ」
「男友達と?」
「別にゲイとかじゃないしいいよな」
目をしばたかせながら星華に問い返す。
「それも」
「ま、まあね」
男友達と聞いてだ。星華は落ち着きを取り戻して言葉を返した。
「それだったら」
「そうだろ?二人で馬鹿騒ぎもな」
「いいわね、それって」
「今度そうしようかな」
「そうするといいわね。何かそれを聞いてね」
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