160 約束事(デート)
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いたい事を先に言われた。
「ただ『頑張れ』って言うだけじゃ確かに物足りない感じがするね」
「でもどうしようか・・・」
五人の間に一時沈黙の時が流れた。
藤木はリンクに入り、観客席の方へ目に向け、笹山に手を振った。笹山も手を振り返した。
(笹山さん、行くよ!)
(藤木君、どんな演技したのかしら?)
藤木は滑り出す。あの全国大会の時のように。リリィに始めてスケート姿を見せた時の喜びを表現するダブルトウループとトリプルサルコウ。そして不幸の手紙で嫌われ者となった哀しみを示すシングルアクセルとシングルルッツ。その先にみどりと堀に立ち直らされた恩を示すフライングコンビネーションスピン。そして怪我をした笹山や虐めを受けた堀を元気付けさせようと言う気持ちを込めたトリプルフリップ、トリプルルッツ、トリプルループ。そして自分の演技を見てくれた人達の謝意を見せるためのアップライトスピン。そして己の全てであるトリプルアクセルからのスパイラル姿勢での着地。上手く決まった。練習でも本番でもないが、何の失敗もなかった。
(どうだい、笹山さん?これが銀賞を獲った俺の演技だよ!)
(藤木君、凄いわ!私が今までみた時よりもずっと・・・)
笹山は思わず拍手した。
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