第六章
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「返事はイエスよ」
「本当に!?」
「本当よ」
「夢じゃないよね」
「自分の頬っぺた抓ればわかるわよ」
「痛いよ」
実際に抓ってみたらそうだった。
「ってことは」
「夢じゃないから」
この言葉も笑顔で言う久子だった。
「安心してね」
「じゃあ本当になんだ」
「そんなに熱く想われたら断れないわ」
久子はというのだ。
「だからね」
「本当にいいんだね」
「宜しくね」
「僕こそ、生きていてよかったよ」
「大袈裟だけれど大袈裟じゃないわよね」
「本気だよ」
本気で言っているというのだ。
「本当にね」
「そうよね、その熱さがいいのよ」
「それじゃあ」
「これから二人でね」
久子は受け取ったラブレターを手にしていてにこにことしていた、こうして自由の告白は適ったのだった。
彼は友人達にこのことを大はしゃぎで話した、まさにこの世の春が来たという感じで。だがそのはしゃぐ彼にだ。
友人達はやれやれとした笑顔でだ、こう話した。
「やっぱり弓削ってな」
「全然クールじゃないな」
「熱い奴だな」
「かなり感情的だな」
「今だってそうだしな」
「大はしゃぎだしな」
「だって嬉しいじゃない」
こう返す彼だった。
「好きな人に告白して受け入れてもらったんだよ」
「それで交際がはじまった」
「だからか」
「本当に嬉しくてか」
「今だってはしゃいでいる」
「そうなんだな」
「そうだよ、天国にいるみたいだよ」
また言う自由だった。
「皆もわかるよね、僕の今のこの気持ち」
「わかることはわかるけれどな」
「それでもな」
「何ていうかな」
「今の御前はクールじゃないからな」
「ホットだよ」
「それが御前の地なんだな」
友人達はその彼に言うのだった。
「もうそれは認めろよ」
「御前クールじゃないからな」
「それが御前の地だよ」
「表情も仕草も豊かだよ」
「そうみたいだね」
ここで遂にこのことを認めた自由だった、何しろはしゃいでいるのは自分自身のことだからだ。
「僕は本当はね」
「ああ、素顔ってこうした時にわかるんだな」
「喜怒哀楽がはっきり出る時に」
「その時にだな」
「わかるんだな」
「そうみたいだね、もう僕はクールにならないから」
また自分でも言った自由だった。
「これからはありのままでいくよ」
「そうしろ、ただ多少は抑えろよ」
「今の御前相当変だからな」
「熱くなり過ぎてな」
「本当にな」
「そのことも大事なんだね」
言われて気付いた自由だった、そしてだった。
自由は久子との交際をはじめた、その交際の時も彼のあまりもの熱さを久子に言われた。地であるその姿を。
本当の顔 完
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