閑話 それぞれ1
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りなのだと。
エリートの集まりと聞いて入って、フォークは一か月でがっかりした。
そこにいたのはただのごますりと記憶力に自信がある馬鹿どもばかりだったからだ。
ただ偉くなるだけで明確なビジョンがない。
相手を陥れるにしても、その理由もない。
かといって自分は大丈夫だと思っているから、隙だらけだ。
エリートが聞いて呆れる。
これであれば、まだあの男の方が手を焼いた。
そう思いかけて、フォークはそれももう終わりだが、と呟いた。
まさか自分からフェザーンに行くなど言い出すとは思わなかった。
何もわかっていない馬鹿なのだろうか。
フェザーンなど行ったところで戦勲が立てられるわけでもない。
戻ってくるときにお疲れさまと昇任はあるだろうが、それで戻ってくるまで最低でも1年はかかる。
1年あれば、優秀な人間が実績をあげれば二階級をあげることも可能だ。
出世の道から自分から落ちてくれるとは思わなかった。
笑みの表情を作ろうとして、危ないとフォークは表情を元に戻した。
課長室に向かう最中に、笑みなど作っていれば目立ってしまう。
そうなれば、おそらく出る杭を打たれることになるだろう。
まだ早い。杭はまだ打ちやすい位置にあるのだ。
表情を引き締めれば、課長室に無難にノックを告げる。
「入りたまえ」
「は、失礼いたします、コーネフ少将」
敬礼を行い、入室すると、そこには五十手前の男性の姿があった。
課長というにはまだ若い年齢であろう。
実際に若かった。
そして、今後もさらに出世の余地があるということでもある。
「お呼びとお聞きしました」
「ああ。その前に……。先日頼んでおいた資料は非常にわかりやすいものだった、人事部長も非常に喜ばれていたよ」
「ありがとうございます。先輩方のご指導のおかげであります」
「謙遜しなくても大丈夫だ。君の実力は高く評価している、このまま頑張ってもらいたいものだね」
上機嫌な様子に、フォークは深々と頭を下げた。
「それで優秀な君に仕事を一つ頼みたい」
「は。喜んで」
「ああ、詳しくはこちらに書いてある。急遽だが、フェザーンの駐在武官に一人欠員が出たのでね、その代わりの人選を選んでもらいたい」
「欠員……欠員ですか」
フォークは若干の動揺を見せて、慌てたように書類をめくった。
そこに乗る名前と理由の記載を見て、表情を変えないようにすることに努力を要した。
だが、その努力は報われたようだ。
コーネフ少将は気づいていないように、言葉を続ける。
「そうだ。急遽で悪いが、来年の4月に1名を追加することになる。難しいか」
「いえ。すぐに候補者を選考します。少なくとも年明けまでには固めておきたいと思います」
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