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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
閑話 それぞれ1
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め前線で活躍したものであっても、後方勤務本部にきて体調を崩すものや満足に仕事ができないものも数多くいる。逆に仕事ができる人間は、それを任される傾向が強い。
 昇進して前線に出たとしても、何らかの欠員があればすぐに呼び戻される。
 前線能力に欠けるというのであればいい。
 セレブレッゼの様に、後方勤務のプロとして役立つことができるのだろう。

 だが、アレス・マクワイルドはどうか。
「感謝しなければいけませんな、セレブレッゼ少将に」
「マクワイルド中尉にとってはどうかわからないがね」
「確かに。イゼルローン要塞の侵攻は反対していましたからね。だが、楽しみでもある」
 期待を込めたスレイヤーが形作る笑みに、シトレは珍しいこともあると口にしようとして、口を閉じた。また、怒りを買うのはごめん被るからだ。

 + + + 

 アンドリュー・フォーク中尉。

 自由惑星同盟統合作戦本部人事部。
 私語の一切ない静かな環境で、書類をめくる音と端末を叩く音だけが聞こえた。
 電話のベルがやけに大きく聞こえる。
 だが、誰も注目することなく、ただ目の前の仕事に取り掛かっていた。
 自由惑星同盟の人事を一手に部署に配属されるものの多くは、俗にエリートとも呼ばれる存在であった。彼らが同盟軍を動かしているといっても過言ではない、それだけの権力が彼らには与えられており、また自らが未来の自由惑星同盟を支えるという強い自負がある。

「フォーク中尉」
「は、何でしょうか。マッカラン少佐」
「コーネフ少将がお呼びだ」
「課長が私を?」
「その通りだ。さっさと急げよ」
「はっ。今すぐ!」
「それと先日頼んだ奴はできているのか」

「ええ。先輩の机の上に置いております」
「ありがとう。できる奴は違うな、前の奴は一か月持たなかったからな」
「すべてマッカラン少佐の指導のたまものであります」
「そうだろう。これからもよろしく頼むぞ、フォーク中尉」
 近づいてきた男が、上機嫌に席を後にする。
 書類を整えながら、フォークは表情を変えずに、小さく舌を打つ。
 愚鈍な男だ。

 自分の仕事すらできずに他の後輩を使って、仕事を押し付ける。
 それで何人の人間が病院に通うことになったのか。
 フォーク自身も卒業してから、被害を被っていたが、それももう終わりだろう。
 自らの頼んだ仕事によって、奴は自滅するのだ。
 今回ばかりは自分でやったほうがよかったですけどね、先輩。
 遠ざかる背後を一瞥して、フォークは立ち上がった。

 課長に呼ばれたというのならば、急がなければなるまい。
 足が少し早くなる。
 人事部はエリートの集まりだと聞いてきた。
 だが。歩きながら、フォークはため息を吐く。
 なんて愚鈍な奴らばか
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