閑話 それぞれ1
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ての自覚をですね」
だめだった。
むしろ火に油を注いだといってもよかっただろう。
シトレは予想する。
このままでは三十分近くもお説教をされることになると。
「わ、わかった気を付ける。それで今日は何かね。私もこう見えて忙しい身でね」
何とか絞りだした言葉に、スレイヤーのこめかみがひきつった。
息を吐くことで、怒りをコントロールしながら、それでも用件を忘れない。
ゆっくりと近づけば、シトレが立ち上がった。
「まあ、ここでは何だし、ソファに座りたまえ。お茶はいるかね?」
「時間がないといったのは、シトレ大将ではないのですか」
「仕事の話を聞く時間くらいはあるさ」
どこか子供っぽい言い草に、スレイヤーは嘆息。
促されるようにソファに座り、反対にシトレが腰を下ろした。
「第五艦隊と第八艦隊の合同訓練計画です。日程は二月下旬から三月中旬を予定しています、三月の上旬からは訓練から戻っていた第四艦隊も合流する予定となっています」
「と、すると、出発は四月か」
「本来であればもう少し訓練時間を多くとりたいのが正直なところだと、ビュコック提督もおっしゃっておりました」
「希望は理解できるが」
「六月には選挙がありましたね」
難しい顔をするシトレに、スレイヤーは首を振った。
「我々は政府の広報ではないのですけどね」
とはいえ、命令されれば拒否することなどできない。
時間が足りないなどと愚痴を言っても仕方のないことである。
そのことを十分すぎるほど理解している二人は、それ以上に愚痴を言うこともなく、ただ苦い顔でスレイヤーから差し出された書類をシトレが受け取り、サインが書かれた。
「個別で訓練も進めているし、作戦司令部も大枠は決まっている。それに」
苦い雰囲気を破るように、シトレは笑みを作った。
「あのエルファシルの英雄と、アレス・マクワイルドが入るのだ。期待を持とうじゃないか」
「マクワイルド中尉を呼んだのはシトレ大将ですか?」
「まさか。いずれはと思っていたが、まだ早いと思っていたよ」
「では、ワイドボーン少佐が」
「その意見もないことはない。希望はあったがね。とはいえ、それで決められるわけでもない。特に若い人間が作戦司令部に多いと、不満もあるからね。決まりはセレブレッゼ少将だ」
「装備企画課長ですか」
「ああ。ラップ大尉が急に離れることになって、その欠員を後方勤務本部にお願いしたわけだが、セレブレッゼ少将が是非にとおっしゃったそうだ」
「珍しいことですな。正直、マクワイルド中尉を手放すのに一番反対すると思っていました」
「後方勤務本部一筋の方だからな。良くも悪くも後方勤務を知っておられるのだろう」
後方勤務本部は専門職の要素が非常に強いものだ。
そのた
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