暁 〜小説投稿サイト〜
武装神姫 〜心と心の最前線(Front Line)〜
第一章 『ユウナ』
第5話 自覚
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て動きを変えていたのだろう。次は銃弾が飛んでくるはずだ。だが銃弾の流れは予想外にもすべてが真っ直ぐ結奈に向いているわけではなかった。あまりにも適当過ぎたのだ。
「(マスター、これは一体・・・。性能を下げるようなダメージは未だ与えていないはずです。)」
結奈の言葉が頭に流れてくる。確かに疑問に思うが、今はとにかく数発こちらに飛んできたものをきちんと防がなくてはならない。集中して銃弾を目で追う。練習の時は全く追いつけなかったものの、今は不思議と冴えている気がする。実際に追えなくはない。結奈が言っていた意識することの重要性がなんなのか掴みかけた気がした。そのとき、
「マスター!またロックオンが外れています!しかもまたこの煙の量・・・。先ほどのは決して適当に放っていたのではなく、私たちの注意をそらすために!」
「もろうたで!!!」
キンッ 甲高い金属音と左手に広がる痺れが緊張感を高めていった。いや、それ以上に事態の把握に追いつけなかった焦りから来る焦燥感だったのかもしれない。
「TIME UP!!」
「マスター、一体何が?」
「失敗してしまいました。せっかくのチャンスだったのに、すみませんマスター・・・、マスター?」
「(なんや、今のは・・・。まるで盾に吸い込まれるように攻撃を吸収された。後ろから攻めとるのに自然な体さばきで振り向きざまに・・・。面白い奴やで、自分は。ほんまにこれが初心者なんか?)」
結局時間切れで累計与ダメージ率の高かったゲンさんとゆうの勝利、私たちは負けてしまった。だが、成長する実感を得たような気がした。少なくとも結奈との間に今までよりも信頼関係を築くことができた。今回はそれだけでも十分だろう。ゲンさん達と別れてから自宅に帰るまでの間に、私は一つ決心した。F3大会に出てみたい、そこで自分の実力を知りたい、もっと成長したいと思った。結奈は最初戸惑っていたが、私と一緒に挑戦したいと承諾してくれた。まだ見ぬ相手を心待ちにしながら眠りについた。
第5話 完
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