十二匹め
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凍傷なってたらどーしよ…」
フリーズドライで萎ませてやろうか。
のそのそとベッドから降りたボーデンが着替え始めた。
「おい美女の生着替えだぞ興奮しねぇのか?」
獣化解除。
「ボーデン。五歳児に何を見せるつもりなの?」
「お前が五歳児ぃ?バカ言え、前世の記憶とかあるクチだろおまえ」
目の前が真っ暗になった。
side out
「なんで…なんでわかったの…ボーデン」
シラヌイの声が、震えている。
どうやらアタシは特大の地雷を踏み抜いたらしい。
「あー…なんかお前って妙に大人びてるからな」
「そう」
シラヌイが立ち上がった。
「じゃ、またいつか会おうよボーデン」
そう言ってシラヌイは窓に飛びついたけど、甘いぜ。
「クリエイトアクア。フリーズ」
窓を氷で覆えば、シラヌイは出られない。
「シラヌイ。おちつけ」
「………」
「話をしよう。なんで逃げるんだよ?」
シラヌイが凍った窓から手を離して、座り込んだ。
膝を抱えて、世界を遠ざけるかのようだ。
「拒絶されると思ったから…」
「なんでだ?なぜアタシがお前を拒絶する?」
「だって、気持ち悪いでしょ?」
気持ち悪い?何が?どうして?
「お前の言ってる意味がわからん。何も気持ち悪くないぞ」
「だって、僕の中身は大人なんだよ?」
大人?お前が?
「お前のどこが大人だ。大人なら逃げねぇよ。
お前はお子ちゃまだ」
「……」
「お前に前世の記憶があるのは、まぁそうなんだろう。
でもよ、大人なのは記憶だけだろ。
今のお前は悪戯がバレた子供と同じだ」
後ろからシラヌイに近づいて、抱き上げる。
一緒にボスっとベッドに倒れ込む。
「アタシはお前を拒絶しねぇよ」
「ほんとう?」
「ああ。本当だ」
手の中の子狐をうんとだきしめてやる。
「だから、安心していいぜ、シラヌイ」
「うゅ」
「もう少し、こうしてようぜ」
「うん」
その金糸のように輝く髪を手櫛ですく。
「うみゅぅ」
「もう少し、寝てていいぞ」
「うみゅ!」
やがてくぅくぅと寝息が聞こえてきた。
「やっぱ子供じゃねぇか」
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