第五十六話 幸先よい勝利その六
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「正岡さんはです」
「攻めることもか」
「出来る方だとです」
「思うちょったんか」
「こちらの世界ではずっと一緒にいますから」
家鴨の顔で微笑んで話した。
「ですから」
「それでか」
「はい、知っているつもりです」
「成程のう」
「それでは」
「ああ、このまま攻めていくか」
得意にはなっていない、冷静で判断力も失っていない。正岡はそのうえでこう言った。そうしてだった。
自身が率いる軍勢を攻めさせていった、その攻めは確かに見事であり東国の軍勢を的確に追い詰めていた。
戦は関西の方に傾いていた、それでだった。
次第にだ、東国の軍勢は追い詰められていた。関西の軍勢の援軍の到着が大きくそれで彼等はそうなっていた。
その状況を見てだ、井伏は自分と戦う武者小路に言った。
「わし等の勝ちじゃな」
「そうなるとっていうのね」
「ああ、なるのう」
「まだわからないと言いたいけれど」
武者小路はここで空を見た、見ればまた空船が来ていた。その空船達を見て彼は内心の無念を隠して井伏に言った。
「そうは言えなくなったみたいね」
「そう言うか」
「思ったより早いわね」
「うちの大将が急がせてるんじゃ」
中里、彼がというのだ。
「あえてな」
「そうみたいね、うちの空船より速いし」
「それでさらに急がせてくれたんじゃ」
「それで援軍も」
「来た、今度はどうなるか」
見れば空での戦は翼人族や術で空を飛べる者達が行っている、しかしそれでも関西の軍勢の方が数と装備で勝り優勢になっていた。
その状況も見てだ、井伏は武者小路に言った。
「おどれもわかるのう」
「わかるわ、もう少し粘りたかったけれど」
「ここは退くか」
「そう思うけれどどうかしら」
武者小路は山本と戦う有島に問うた。
「それで」
「ここからは無駄な戦になるな」
有島は武者小路に鋭い目で答えた。
「それならな」
「あんたとしてはよね」
「退くべきと思うわ」
これが有島の考えだった。
「今は」
「それじゃあね」
「退くか」
「ここはね、じゃあ」
「ああ、今からな」
「皆一目散に逃げるわよ」
武者小路は関西の兵達に押されている自分が率いる兵達に話した。
「いいわね」
「わかりました」
「それじゃあ今は」
「退きますか」
「術を使える子はそれで逃げなさい」
転移の術を使ってというのだ。
「小田原までね」
「はい、小田原ですね」
「あそこに逃げてですね」
「そうしてですね」
「そこでまた」
「どうするか話すから」
守るともそこからさらに退くともやはり言わなかった、敵である関西の軍勢が今自分達の目の前にいるからだ。
「いいわね」
「わかりました」
「それではですね」
「小田原
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ